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第1278回
華麗なるジャズ・エイジ
ニューヨークのミステリー

2013年6月15日 夜9時〜

フィッツジェラルドの原動力だった女性
彼女も時代の光と影を体現していた

取材をしてとても興味深かったのは、1920年代はアメリカの黄金時代だっただけでなく、女性の生き方や表現が劇的に変わった時でもあるんです。フィッツジェラルドが生涯愛した妻ゼルダは、それを象徴するような女性でした。自分の欲望を隠すこともなく、華やかな生活を好みパーティーに明け暮れる日々を送っていました。彼女の行動には、ちょっと驚くようなところもありますが、ファッションや言動はカッコいい。男性にも女性にとっても憧れの存在でした。今で言うレディ・ガガみたいな感じでしょうか。彼女は結局、精神的に病み幸せな最期を迎えることはできませんでしたが、女性目線で見ると自業自得と切り捨てることはできません。ゼルダの生きた時代、女性のファッションや言動は飛躍的に自由になったかもしれないけれど、結局夫の財産に依存しているというのが現実。自由で平等な社会進出ではまだなく、名誉も地位も得られない。年を重ね、若い時のようにちやほやされなくなって、私の人生って一体何だったの?と気付き悩んでしまう…。切ないですね。

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おしゃれでイケてる女性の代名詞「フラッパー」
ゼルダはそのシンボル的存在だった

でもゼルダがいたからこそ作家フィッツジェラルドが誕生し、『ザ・グレート・ギャツビー』が生まれたとも言えると思います。フィッツジェラルドは、ゼルダの関心と愛を得るために作家になり、財産を築き、そして彼女を満たすために派手で豪華な生活をしていたのですから。本当はあんまり派手で目立つことは好きじゃないのではないかと私は思いましたね。それは、作家として後世まで残る作品を残したいとニューヨーク郊外へ引っ越したことからも感じました。

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納得のいく作品を書きたいと思い引っ越した
ニューヨークの郊外ロングアイランドは
今も近郊農業がさかん。果樹園を営むご家族と

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フィッツジェラルドが借りたという家

そして書き上げたのが『ザ・グレート・ギャツビー』。この作品は、自分の体験をもとに華麗なる生活を描いていますが「どうだ!凄いだろ!オレ様!」と言いたい訳じゃないんですね。冷静で鋭い感性を持ち、実は几帳面だったフィッツジェラルド。傍から見るとゼルダと相性がいいとは思えない。でも偉大な作家になるためにはやはりゼルダが必要だったのでしょうね。

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