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第1266回
春よ来い!知られざるアルプスの熱い冬

2013年3月9日 夜9時〜

アルプスの麓の町に残る来るべき春を喜ぶ熱き伝統の祭り

今回取材をしたスイスでも比較的小さな町でのお祭りは、人間の原始的な感覚を今に現しているようでとても面白かったです。チェゲッタという仮面を付けた男たちが練り歩くお祭りは、日本のナマハゲにとてもよく似ていますが、南の島のお祭りにも重なります。アジア各地、アフリカ、北米などにも同じようなお祭りがありますよね。

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秋田のナマハゲそっくりの面

私、日本のナマハゲを生で見たことないのですが、ナマハゲが来るとよく子どもが泣いて回りの大人は笑っているという映像を見ます。でもチェゲッタは大人でも怖いと思いました(笑)。チェゲッタでは女性が狙われて顔に雪をなすりつけられるんです。体も大きく恐ろしい顔をした魔物に狙われるのは、たとえ中に善良な人が入っているとわかっていても怖いんだと実感しました。きっと恐ろしげにふるまうテクニックも伝承されているんでしょうね。
ワラの柱を燃やすホム・シュトロームというお祭りは、まさしく日本のどんど焼き(注:しめ縄、松飾りなどを焼き無病息災を願う新年の祭り)でした。このお祭りは夜行うので、舞い上がる火の粉が夜空に吸い込まれていくようでとてもきれいで思わずうっとり眺めていました。

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柱にワラを巻き付け焚き上げるホム・シュトローム
小さな子どもたちにもちゃんと役割が

これらのお祭りは、厳しい冬よ去れ、春よ来い!という人びとの願いが込められていると言われています。取材中、現地の方に「もう春は近いですね」と声をかけたのですが、実は応えにジェネレーションギャップがあったんです。お年寄りは「そうだね、もうすぐ春だよ」と春を待ち望んでいる感じなのですが、若い世代は「冬の方がきれいだし、スキーもできるし、仕事も少なくて楽しいよ」と(笑)。確かに機密性の高い現代の家は暖かいし、移動手段も整備されているのでそんなに不便はないのかもしれません。また酪農などは春から大変な仕事が多いですからね。なるほどと共感しつつも、お祭りには必ず用意するという伝統のお菓子の作り方を教えてくれたおばあちゃんが印象に残っています。そのおばあちゃん、お菓子を作りながらちょっとこぼれたり、ボウルに残ったりする材料を「もったいないから」とペロッと舐めるんです。その様子はとてもチャーミングなのですが、冬の寒さや食糧不足を忍んだ厳しい時代を生きてこられたんだなと思いました。

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「日本はもちろん世界各国で見られるお祭りと
よく似ているところが興味深かったですね」(諸岡さん)

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