インタビュー

DEAN FUJIOKAさん:黒沢歩 役

DEAN FUJIOKAさん:黒沢歩 役

❤ 演じていらっしゃる黒沢という人は、どういう人だと思いますか?

とてもピュアな人です。それぞれのことをちゃんと考えていて、口や態度は悪くても常に温かく見守っているから皆、愛を感じるんでしょうね。そういう存在感というのは原作でも感じましたし、演じる上でも大事にしているところです。
それと黒沢という人はプロデュース能力が高い人だと思います。適材適所を見極める人で、ミチコのことも「プロデュースする側の立場」として導いています。会社を辞めて喫茶店を始めたのも、残りの人生をどう送ろうかとセルフプロデュースし始めたということなのではないでしょうか。「マスター」と呼ばせるのも、今はもう主任ではない、喫茶「ひまわり」の店長=マスターだというはっきりした違いを意識しているんだと思います。新しいビジネスとしての決意の表れ、店に対する責任感の強さ、自分が選んで決断したことなのでそこは徹底しているんでしょう。

❤ 演じるとき意識していることはありますか?「ドSを極めます!」とのことですが…

そうは言ってもどこまで出せているか…表面的なことだけでなく、人があるべき姿としてインスピレーションを作っていかないといけませんし、ちゃんと愛のあるドSに見えるようどれだけの振れ幅でいけばいいのか悩みます。
黒沢はある意味一番まともな人だと思うので、まわりがコメディの芝居をしている時は抑えるようにしています。ラブストーリーですので照れるシーンも多いのですが、そこも含めて一つのコメディだと思っているので頑張ります(笑)。体を動かすのが好きなので、ヤンキー時代のケンカのシーンは楽しかったですね。現在の黒沢とのギャップが面白いと思いますよ。
黒沢は口が悪くて、ふだん話すことのない言葉が多くて楽しんでいます。ただ、日常生活にまで出ないように気をつけないといけませんが(笑)。

❤ 原作のある作品ですが、演じる際意識したことはありますか?

すでにそこにある世界を壊さないように、期待を裏切らないようにというのは大きいですね。外見もどこまで近づけるのか、いい意味で原作を越えられるか、そういう心意気でやっています。
キャラクターが一人ひとり際立っていてカラフルですよね。ミチコの現状はシリアスに見ると「女性の貧困」とか、社会問題なはずなのに「漫画」という力は凄くて、コメディとしてポジティブに切り替えられていて、読んでいて楽しかったです。そういうパワーを見ている人に届けられればと思っています。

❤ ミチコ、晶、そして春子さんと黒沢の周りには女性の影がちらほらと…

男としては「ちょっとどうなんだ」という感じはしますね(笑)。春子さんに対する想いというのはピュアすぎて、理想と現実の裂け目を埋めるために無理もしていたし、そこが晶との関係にも繋がっていたんだと思います。
晶も晶で、包丁を持って押しかけられたら「じゃあいいよ」みたいになりますよね。ぼくだったら「危ないものはまず置きなさいね」と包丁くらいなら叩き落とします(笑)。
今はミチコのことをどうこう意識している、というつもりはなく、ただ面倒を見ている人だと思っています。ただこの先いろんなハプニングが起こる中、黒沢がどうなっていくのかぼく自身も楽しみですね。

❤ 料理やお食事のシーンが多いですが、ふだんお料理はしますか?

時間があればする程度です。撮影中はどうしてもお弁当や外食になってしまうので…食事のシーンは、実はあまり食べないようにしているんです。がつがつ食べるキャラじゃないですし、どちらかと言うと「皆に食べさせる人」ですので、皆にサーブしてその食べ方を見て怒っている、面倒を見ているお母さんみたいな感じです。

❤ 撮影現場の雰囲気はいかがですか?

現場はすごく楽しいです。深田さんが本当に妖精のようで、その場にいるだけで和むんです。年齢はぼくのほうが上ですけれど、このお仕事では大先輩で、ご一緒させていただけて嬉しいです。「ひまわり」の仲間たちも楽しいですし、そういう雰囲気は作品の良し悪しにも係わってくるので、本当にいい現場だと思います。
芝居はリハーサルであわせてみてから調整しています。役者というのは受身な作業だと思っているので、自分がどうしたいかではなく、監督に何を求められているかを意識することが大切だと思っています。もちろん役作りなどの準備はしますが、「自分がどうしたい」ではなく「自分がどう応えるか」、それを役者同士で微調整していく、という方法で作っています。

❤ もし身近にミチコや黒沢がいたらどうなると思いますか?

ミチコのような人がまわりにいたら、ぼくはいろいろ言いながらも面倒を見てしまうと思います。「コイツ、本当に大丈夫か?死なれたら困る!」というところまでいっている人が目の前にいたら無視できないですよ。黒沢も人に教えるのが好きな人なので放っておけないんでしょうね。
黒沢とは友だちにはなれると思います。とっつきにくいヤツだな、とは思っていますけれど(笑)。黒沢は周りにダメな人ばかりがたくさんいる感じですが、見捨てずにいいところを引き出して楽しくやっている人だと思います。ぼくも縁があって一緒に過ごすことがあれば、お互いのいいところを見つけられると思いますね。

❤ ご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

ボケるミチコと、黒沢の「ツッコミは地球を救う」というようなやりとりが面白く展開していますので、注目していただきたいです。
ミチコがこれだけダメでも生きていけるんだ、という反面教師的な勇気をもらえる、元気になれる作品ですので是非楽しんでいただきたいです。