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BACK NUMBER #693 2019.11.23 O.A.

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世界一奪還へ 侍ジャパン若き指揮官・稲葉篤紀監督の戦い
世界野球プレミア12の決勝で宿敵・韓国を破り、10年ぶりに世界一の座を奪還した侍ジャパン。その瞬間、人目もはばからず涙を見せたのは47歳の若き指揮官・稲葉篤紀だった。自身、選手として北京オリンピックでメダルを逃すという悔しさを知る稲葉、この大会どんな覚悟を持って戦いの采配を振ったのだろうか。
2019年10月、多くの有力候補から今回のプレミア12を戦う選手が発表された。2009年のWBCを最後に、世界の舞台で優勝という結果を残せていない侍ジャパン。世界一奪還を目指す世界大会経験者と、伸び盛りの若手が融合された28人のメンバーだ。
台湾で迎えた大会開幕戦。初戦の硬さからか侍ジャパンはベネズエラに先取点を許してしまう。中盤に入り一度は逆転をするものの、なかなか試合の主導権を奪えない。終盤に入り7回終了時で2点のビハインド。日本はいきなり窮地に追い込まれた。ここで稲葉は周囲を驚かせる采配を振るった。8回、満塁のチャンスで迎えるバッターはチームの中心的存在である坂本勇人。ここでベンチを出た稲葉は、迷う様子もなく代打を告げたのだ。この選手起用は監督経験がある谷繁元信も驚いたという。このあと、一挙5点をあげ、日本は逆転勝ち。試合後、稲葉は自信をもってこう語った「苦渋の決断だった。でも、勇人もわかってくれているし、コミュニケーションもとっている。チームが勝つため」と。稲葉の決断はメンバー発表の時も周囲を驚かせていた。各チームの主力が結集する侍ジャパンに、今年開幕直前に育成から支配下に登録されたばかりの選手を抜擢したのだ。足のスペシャリスト周東佑京だ。試合終盤、勝負を決める1点のための秘密兵器だ。決勝に進むために負けられないスーパーラウンド初戦のオーストラリア戦。1点を追いつきたい試合中盤、稲葉は遂に秘密兵器を投入した。息が詰まる場面であっても、周東にはノーサイン、いつでも走っていいと指示していた。周東は期待に応えて見事に盗塁を決めた。相手から警戒されるなか、更に3盗まで決めてチームの勝利に貢献してみせた。今大会で4盗塁を決めた周東の神走塁。それは、まさに1点をもぎ取る稲葉の采配だ。実は、この大会8試合で稲葉は全て違うオーダーを組んでいる。その中で唯一、固定したのが4番・鈴木誠也。どんな状況になっても、ここだけはいじらない。それが稲葉の信念だった。稲葉が信頼し、4番を全うさせた鈴木だが、2017年のWBC、極度の不振で、勝利に全く貢献出来なかった。その時の悔しさを胸に、日本を代表するバッターに成長した鈴木に、この大会で、4番を託す。それが、メンバー構成を考えた時から不動の稲葉の思いだった。結果、大会MVPに輝く大活躍で、4番の重責を果たし、稲葉の思いに応えた。稲葉監督の強い決断は投手起用でも表れていた。宿敵・韓国との決勝でエースの山口俊が先発。しかし、初回に本塁打を打たれ3失点。ここで監督は躊躇なく決断を下す。2回から高橋礼を投入し試合の主導権を相手に渡さない。最後は侍ジャパン勝利の方程式で世界一の座を奪還した。
日本野球界のため戦った侍ジャパンの戦士たち。6ヵ国で争う東京オリンピック。もう一度、悔いなき戦いを。そして、稲葉監督のもと侍戦士たちが、金色のメダルを首にかける瞬間を心待ちにしている。
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