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BACK NUMBER #606 2018.2.17 O.A.

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男子レスリング・太田vs文田 熾烈なライバル対決
たった1つのオリンピック代表の座を巡り繰り広げられてきた熾烈なライバル争い。そんな宿命の戦いを続ける2人の男が男子レスリング界にいる。リオ五輪・銀メダリスト、太田忍と2017年の世界選手権・金メダリスト、文田健一郎。2人は同じ場所で練習する仲間でありながら互いを強烈に意識している。2年後に迫る東京五輪出場をかけた戦い。たった1枚の切符をめぐる激闘に密着した。
日本体育大学レスリング部。これまで14人もの五輪メダリストを輩出したレスリング界きっての名門だ。卒業生を含め80人を越える選手が共に汗を流す中、2年後の東京オリンピックのたった1つの代表の座を争っている2人の選手がいる。1人は日体大OB、現在アルソックに所属する太田忍(24)。卒業後も練習の拠点を母校に置きリオ五輪で銀メダルを獲得した。もう1人は日体大4年生、文田健一郎(22)。2017年の世界選手権で、日本男子に34年ぶりの金メダルを勝ち取った。わずか2歳差の先輩後輩の間柄だが、太田も文田も世界レベルの実力の持ち主だ。実戦練習が始まった。2分1セットで選手を入れ替えながら15セット以上ものスパーリングが続く日体大伝統のメニュー。2年先輩の太田は、高い身体能力を誇り、スピードが武器。一方、後輩の文田は、そり投げなど豪快な投げ技を得意としている。そんな2人が手合わせすれば練習とは思えない火花が散る。互いの意地と意地がぶつかり合う。監督も2人に発破をかける。日頃の練習から、一切、手の内を隠さない。本番さながらの真剣勝負。たとえ練習でも負けるわけにはいかない2人の男がいた。しかし、スパーリングを終え2人がペアを組んでの筋力トレーニングに移ると、先輩後輩の間柄ならではの、なごやかな顔も垣間見せた。海外遠征では同室になるなど、唯一無二のライバルでありながら互いをリスペクトし合う、いい先輩後輩の関係を築いている。
今でこそ太田と後輩の文田はライバル関係だが、先にその名を轟かせたのは先輩の太田だった。日体大で実力を順調に延ばし、4年生で全日本選手権を初制覇。日本のトップに立った太田は勢いそのままに、リオ五輪で世界の強豪を次々撃破。銀メダリストとなり、一躍レスリング界の第一人者となった。一方2つ年下の後輩・文田は、太田が優勝した全日本選手権で5位に終わった。太田にとっては、わずか数年後に自分のライバルになるなど想像もしない小さな存在に過ぎなかった。実は太田は、リオ五輪のとき、後輩・文田を練習のパートナーに指名していた。リオでのトレーニングはもちろん、寝食も共にし、銀メダル獲得までの快進撃を文田に支えてもらった。しかし活躍する自分の姿が、文田の強烈な闘争心をかきたてていたとは思いもしなかった。憧れの先輩から倒すべき先輩へ、このときから2人の熾烈なライバル関係が始まった。そして対決の舞台は早くもリオ五輪から4か月後に訪れた。2016年の全日本選手権決勝。五輪銀メダリストの先輩・太田に後輩・文田が挑む。序盤は太田のペース。しかし終盤、後輩・太田が驚異の粘りを見せ連続ポイントを獲得し一気に逆転。まさか、後輩の文田に負けるとは。太田はこの現実を受け止めきれずにいた。一方、文田は打倒太田の手応えを感じていた。実はそんな文田の成長を先輩・太田は練習中から実感していた。太田にとって後輩に2度続けて負けるわけにはいかない。半年後の全日本選抜選手権決勝で、太田と文田は再び対戦。試合は序盤から後輩・文田のペース。文田得意の投げ技をまともにくらった。終盤、ポイントで負けていた太田は、なりふり構わぬ攻めを見せ、審判に注意される。結局、太田にいいところはなく、試合は後輩・文田が完勝。全日本選手権に続き2連敗を喫し、世界選手権の代表の座も奪われてしまった。そして初出場した世界選手権で、文田は金メダルを獲得。太田も獲ったことがない世界チャンピオンの称号を後輩に先に越されてしまった。最強のライバルとなった後輩をどうすれば倒せるのか?オリンピック銀メダリストのプライドをかけた戦いが始まった。
2人が3度目に激突した舞台が2017年12月に行われた全日本選手権。太田は、あることを決意していた。この大会で文田に負ければ階級を変更すると。共に2回戦から登場。後輩・文田は、2試合続けて得意の投げ技を決め、危なげなく勝ち上がった。一方、先輩・太田は、持ち前のスピードで相手を翻弄。決勝進出を決めた。決勝はまたしても太田vs文田。ここまで太田は2連敗。ここで負ければレスリング人生は大きく変わる。試合は1ピリオド3分、2ピリオド制。第1ピリオド、太田は、後輩・文田に2点リードを許し終了。第2ピリオド、逆転を狙う太田は積極的に攻めた。太田は3対4と1点リードを許したまま試合は終盤へ。残り30秒。リードする文田が守りに入ったのを太田は見逃さなかった。太田が起死回生の投げ技を決め、2ポイント獲得し逆転。この試合、初めてポイントでリードした太田。残すはあと13秒。激闘を制したのは先輩・太田。こみ上げる思いを抑えきれなかった。この太田の勝利で、東京五輪の代表争いは更に激化する。そして、先輩にリベンジされた後輩・文田は雪辱を心に誓った。
太田忍と文田健一郎。同じ場所で切磋琢磨する先輩後輩のオリンピックをかけたライバル対決にどんな結末が待っているのか?2人の戦いから目が離せない。
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