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BACK NUMBER #436 2014.8.16 O.A.

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緊急SP ボクシング高山勝成 世界4団体制覇への道のり
身長158cm、体重47.6kgの小さな男が、リングで凄まじい力を発揮する。
高山勝成、31歳。プロボクシングで最も軽いミニマム級で、世界の頂点に君臨する男。高山は驚くべき快挙を成し遂げた。それは、日本人前人未到の大記録、WBA、WBC、IBF、3つの団体で世界チャンピオンになった。そして、更なる野望。4つ目の団体のチャンピオンベルトを取ると宣言。そんな高山の破天荒な挑戦を1人のトレーナーが支えていた。夢の4団体制覇に挑む2人の激闘に密着した。
ボクシングを始めたきっかけは、12歳の時。身長150cm、体重60kgだった高山は、ダイエットをするためボクシングジムを訪れていた。1年続け、15kgの減量に成功しスリムになった高山少年は、秘かにプロボクサーになりたいという夢を抱き始めた。高山がトレーナーに指名したのは、当時38歳だったの中出博啓。まだ資格を取得ばかりの新人トレーナーだった。中出の巧みな指導ぶりが、高山に強烈な印象を残し、自ら中出に直談判をした。少年の純粋な気持ちを受け止めた中出はトレーナーを引き受けた。
高山は、当たり前のように毎日ジムへ通い、中学3年生の時、高校には進学せず、プロボクサーを目指すと決意した。この時既にスパーリングの相手はプロボクサー。階級も上の選手と戦い、一歩もひるまず向かって行く姿勢を見せていた。そして中出も、1日も早く高山をプロボクサーにすることこそ、自分の使命だと感じていた。
17歳の誕生日を迎えた高山は、プロテストを受験し、見事一発合格。その3か月後プロデビュー戦を迎えた。息もつかせぬ圧倒的な強さでTKO勝利。そこから一気に階段をかけあがり、全日本の新人王を獲得。高山の名は一躍ボクシング界に轟いた。
そしてデビュー4年目の2003年4月21日、19歳の高山は無敗のまま日本タイトルマッチに挑んだ。相手は2歳年上の畠山昌人。前年、日本チャンピオンに輝き、初めての防衛戦。2Rに畠山の鋭いパンチが高山の顔面をとらえ、右目から出血。大きくリズムを狂わせてしまった高山は9Rで無念のTKO負けとなった。しかし、この1敗で高山と中出に予想もしない事態がおきた。敗戦の責任はトレーナーの中出にあると、ジムの上層部が判断し、中出を高山のトレーナーから外した。中出は自分自身1つの区切りをつけようとジムを辞める決意を固めた。しかし、高山は中出がトレーナーを外れることを受け入れることができず、揃ってジムを辞めることとなった。新たな所属先を探しながら、高山は毎日公園などで練習を続け、中出はいくつものジムに何度も足を運んだ。だが、現実は甘くなかった。突然所属先を辞めたことが不信感を呼び、話しすら聞いてもらえなかった。これからという時に試合はおろか、練習場所すら確保できない。そんな生活が5か月も続き、2人を受け入れてくれるジムがみつかった時、高山は20歳になっていた。中出は試合から遠ざかってしまった高山に試合のイメージを取り戻させようと、通常20分ほどしかないジャドーを毎日1時間続けさせた。さらに、高山の武器、ステップワークに磨きをかけた。
高山と中出に夢の舞台は突然訪れた。世界戦を予定していたミニマム級の挑戦者がケガで試合を辞退。代役に指名されたのが、なんと高山だった。二人三脚で歩んできた6年。いよいよ夢が現実となる。相手は6年間負けなしのWBCミニマム級チャンピオンイサック・ブストス。高山は終始主導権を握り12Rを戦いきった。ジャッジは3対0。高山の完勝だった。さらに、その後もWBAに続き、WBC、IBFでもミニマム級のチャンピオンベルトを奪取。日本プロボクシング史上初の3団体王者という快挙を達成した。
そして今年、さらに歴史を塗り替えるべく、新たな戦いを表明。
「4団体制覇」
今年6月、2人が掲げてきた夢への挑戦が決まった。対戦相手は残る1つの団体WBOミニマム級チャンピオン。しかし、この直前2人に悲劇が襲う…。
トレーナーの中出が病に倒れた。病名は「脳動脈瘤」。かなり危険な状態だった。手術をしても助かるかわからない…。この時、4団体制覇の世界戦まであと2か月まで迫っていた。中出は高山と共に試合に向かうため、手術を受けることを決意した。約2時間の手術は無事成功。麻酔で意識が朦朧とする中、真っ先に口にしたのは高山のことだった。
そして8月5日、世界4団体制覇に挑む高山と瀕死の病から復帰したばかりのトレーナー中出が決戦の地メキシコに到着。今回の相手は21歳の若さでWBO世界チャンピオンになったメキシコのフランシスコ・ロドリゲス。通算14勝のうち、10勝がKOかTKOというハードパンチャー。高山と中出は十分な対策を練ってきた。
8月9日、試合開始1時間前、高山と中出は最後の調整を行っていた。会場に詰めかけた1万7000もの観客。その中に日本から来た高山を応援する者など、ほとんどいない完全アウェー状態。高山の4団体制覇の試合が始まった。試合中盤まではポイントではほぼ互角。勝つために必死に突破口を探す高山。リングサイドの中出から檄が飛ぶ。そして迎えた最終ラウンド。ここまで来ても両者一歩も譲らない。残るは1分30秒。壮絶な打ち合いが続く。全て出し切った高山は、中出の方の上で勝利を確信していた。しかし、結果は3対0で世界4団体制覇にはならなかった。持っていたIBFのベルトも奪われた。

少年時代の出会いから一心同体で走り続けた高山とトレーナ中出。2人が不屈の闘志で迎えるリベンジの時を待っている。
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