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インタビュー 第六回 吹石一恵さん(坂本由美 役)

——台本を読んでの感想。

母の愛を描いた物語というのはよくありますが、ここまで強烈な父の愛を描いた物はあまり印象になかったので、すごく素敵なお話だなと思いました。そして、ぐいぐい台本に引き込まれていきました。
父が子を思う気持ちというのは、子どもはなかなか気づかないかもしれない。うちもそうだったのかも…と、自分の身に置き換えて考えながら読んでいきました。

——「とんび」の魅力とは?

愛は伝染していくというところでしょうか。
「家族って育つんですね。」というセリフが1話であるのですが、親が子を愛し、その子がまた親になり、新たな親の愛が生まれる…というところを描いているだけなのですが、その連りが良いのではないでしょうか。

——ご自身の父親の存在とは?

仕事柄、家にいないことも多く、寡黙な父だったので、たまに部屋で2人だけになると気まずくて、「何を話したらいいのかな…」と思うくらい、どう接したらいいかわからない存在でした。
でも、大人になるにつれ、「親子って楽しいな」と思っています。
私も働き始めて15年以上経つので、お互い社会人として、一緒にご飯を食べながら話しをするのがとても楽しいです。今が一番父との関係が楽しいときかもしれないですね。

——(役柄上)子供の成長・子育ての苦労。

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経験がないので、想像でしかないのですが、自分よりも大事なものがある、大事な命があるということは…凄いですよね。
私が演じる由美はシングルマザーなので、自分が働いて父の役もしなければいけないし、家ではもちろん母の役割で…ものすごくガッツがなければ出来ないな…と、演じながら思っています。
息子の健介を演じる黒澤宏貴くんは明るく元気な男の子で、撮影の合間に一緒にお絵かきをしたり、お話したりして凄く楽しいのですが、でもこれが24時間で365日だと今の私には、結構ハードかもしれないですね。母親ってやはり、すごいですよね。

——昭和という時代について。

ちょうど小学校の入学が平成元年だったので、「記憶がない」のが昭和でしょうか。
昭和は映像で観るとビビッドで面白そうな時代ですよね。
ちなみに、私が演じる由美は「とんび」の中で現代パートに登場するのですが、現代とはいえ、設定が平成10年なので、携帯電話など使っているものが今と変化しているのが衝撃でした。
また、由美が働く雑誌社のファッション編集部で、ページの構成をするシーンがあるのですが、「スカートの丈こんなだったの?」と驚きました。
10年ちょっと前は、そんなに今と変わらないイメージだったのですが全然違っていて、10年前でさえこんな新鮮に驚くので、昭和の時代だったらもう信じられないほどの違いがあるんだろうな…と思います。

——「とんび」の見どころを教えてください。

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当たり前のことですが、自分には父と母がいて、そして、わたしが生まれて今日まで育ててもらえたということを、「有難いな。凄いことだったんだな」と、改めて足元を見直させてもらえるような、そして、日々の小さなことに「ありがとう」と思えるような作品なのではないかなと私は思います。
作品のどのシーンの根底にも愛がある。ただ無条件に父が子どもを愛し、ご近所さんもみんな家族みたいにアキラの成長を見守って、叱ったりもする。そういう愛の深さ、強さが、もしかしたら今現在では新鮮に映るかもしれないですね。