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初めての教育現場
カメラの使い方を伝授する武次ディレクター
「『メディアリテラシー』という番組をやってくれ」と上司から言われたのが2000年12月1日。「メディアリテラシー」という言葉は知っていましたが、それがどのような教育なのか全くわかりませんでした。事前に参考書を読んだりインターネットで調べたり人から話を聞いたりしましたが、漠然としたイメージが広がるだけで具体的なイメージが湧きでてきません。12月8日、最初の取材で高知市立旭東小学校の先生方に初めてお会いしたのですが皆さんパワフルな上に大変エネルギッシュで驚きました。子供たちもまた然りです。そう感じたとき、直感で「これはいける!」と思いました。生き生きとした子供たちの目や先生たちの熱心さをうまく描くことができればそれだけで番組として成立するはずだと。そのためには喜怒哀楽の表情を映し出すことが絶対条件だと。その頃はまだ番組の構成もはっきりと決まっていなかったので、現場を取材する側の目で判断する必要があったのです。

 しかし実際に取材をしてみると前半は主に学校内での活動が多く、どうしても取材する場所など範囲が限られてしまいます。しかし主役は子供たち。動きがなかなか読めません。何が起こるかわからないのでテープを必要以上に回しつづけました。それとカメラを意識させないためという理由もそこにはありました。それが結果として効を奏し、後につながったのだと思います。

  ホントのウラ話
取材当初先生方に気を遣っていただき、お昼は配達弁当をごちそうになりました。しかし鈴木先生を含む東京から来た私たち一行はどうしても給食が食べたい。それを先生に伝えたところ「あらあら」と驚かれましたが、翌日晴れて給食を口にすることができました。 毎日食べている先生方には奇妙に思われたかも知れませんが、給食を口にするのは15年ぶり以上です。懐かしい味をありがとうございました。
 

■「空気になれ!」
武次ディレクター、 デジカメ撮影成功!雷を落とす足達親弘先生と川崎ひろか先生
 忘れもしない1月17日。テレビ高知への研修初日。この日は学校に残る子供たちがほとんどでしたので徳満ディレクターと二手に分かれ、私はデジタルカメラを片手に一人で学校に残ることになりました。
 そしてちょうど昼頃「今から研修組が学校に戻るから、待機していてくれ」と徳満ディレクターから電話が入り、校門でカメラを構え待っていました。目の前に停まった2台のタクシーから先生と子供たちが下りてきました。当然のように私はカメラをまわしています。
 しかし様子がおかしい。みんなの表情から笑顔が消えているのです。下りてくるなりその場で輪になりお説教が始まりました。密着からひと月あまり経ちますがこのような状況は初めてです。
  このときに思い出したことがひとつありました。大野プロデューサーからとある夜更けに言われた「空気のような存在になって子供たちの中にとけ込め」という言葉した。その結果子供たちにも先生たちにもカメラを意識されず撮影することができました。おそらく肩でかつぐ大きな取材カメラではあのような場面は撮れなかったかも知れません。
  こうして自分に課した絶対条件のなかで狙うのが一番難しいと思っていた喜怒哀楽の「怒」の部分が撮影できたわけです。

  ●ホントのウラ話2
 今回の取材の中で、私一人でカメラをまわしているときなど、先生に児童と間違えられたり、「あら、おったの?」と言われたり本当に空気のような存在になっていきました。また東京からノートパソコンを持ち込み、撮影と同時進行で授業内容の資料を作成していたら、それがそのまま生の資料となり先生と情報を共有するのに役立ちました。そのようなことが自然な形で表れたのが非常によかったのだと思います。
 

                      ディレクター 武次裕