インタビュー

松山ケンイチさんインタビュー

原作や台本を読んだ感想は?

原作や脚本を読むと 「こんなことがあったんだ」 という衝撃と悲しさが伝わってきました。言葉では上手く言えませんが、この作品は絶対にたくさんの方に見ていただきたいものだと感じました。

今回演じられる戸田英一はどんな人物でしょうか?

タイトルにもあるように、基本的にこの物語は子供たちがメインの話でして、自分が演じる英一は、親を亡くした子供たちを守りながら生きていくというような役です。

英一を演じる上で気をつけたポイントというと?

どの役も、ほとんどは撮影現場で役が出来上がっていくのですが、このドラマの背景として、当時の方々が、現代人よりも精神的な部分がしっかりしていたような気がします。もちろん教育の違いもあるかもしれませんが、今よりも不便だったと思いますし、いろんなことを我慢しなければならない生活の中で、一人ひとりが若いのにすごく自立している。同じく僕の演じる英一も大人の部分があり、目の前の現実をただ悲しいとかただ悲観的になるということではなく、この悲しさをどうやったら乗り越えていけるだろうかということを抱えて生きているんです。

それは、もっとポジティブに歌を歌いながら 「生きよう」 と強く思うことだったり、感じたりする、ことが他の皆さんの役にもあるような気がします。そういったこともあり、まずは精神的な面からの役作りを大事にしていかなければと思いました。

共演された子供たちの印象というと?

本気だなというか、本気でこの物語を伝えなきゃいけない、この役をまっとうしなきゃいけないという気構えを感じました。そんな子供たちと一緒に演技できることをありがたいと感じますし、自分もきちんとこの役をドラマを観てくれる方々へ届けられるよう、頑張らなければという気持ちにさせてくれました。

最初の出会いのときはぎこちなさもありましたけど、どんどん仲良くなって絆が強くなっていく様子を感じました。そんな繋がっていく感じは、自分も同じように感じていかなければと思っていましたが、撮影が進むにつれ自分も子供たちとも次第に距離が縮まって、絆を感じられるようになり楽しい現場となりました。

二階堂ふみさんの印象というと?

共演は2回目ですけど、彼女の出演している、色々な作品を見ていて、役ごとに表情が違うなという印象を持っていました。役ごとでガラッと印象が変わるような、自分が俳優として大事だなと思うのは、そういった部分なので、今回も共演を楽しみにしていましたし、実際に演技していて楽しかったです。

まだお若いですし、これからどんな風になっていくんだろうと楽しみな方ですし、また一緒に演技をしてみたいです。上手いだけじゃなく気持ちがきちんと入っている方は、やっぱり一緒に演技していて楽なんです。
それは、二階堂さんだけじゃなく、このドラマの子供たちにも言えることです。

特に印象に残るシーンというと?

英一が、友之 (五十嵐陽向) を養子に出して、おまんじゅうを持って帰ったときの、加藤清史郎君と山田望叶ちゃんと森遥野君とのシーンでは、自分が珍しくよくしゃべるシーンで、その話を3人の子供たちはただ聞いているだけなんですけど、その聞いている演技がものすごいんです。
しゃべりながら感情が高まっていくことはよくありますが、子供たちの黙っていても感情がブワッと出て来るっていうのは、見ていてすごいなって思いました。
本当に悔しさとか悲しさ、寂しさ、いら立ちや不安など、すごくいろんな気持ちをそれぞれが毎回表現してくれるので、そのように真っ直ぐに出してくれると、こちらも自然とそういう気持ちにさせてもらえます。そんなところは本当に助けられますし、そういった表情を積み上げて見ていると、このドラマは絶対いい作品になるなと感じています。

戦争を知る世代が減っている中、戦争を題材にした作品に関わるお気持ちは?

戦争は、ほんとにやってはいけない行為というか、人が人を殺したり殺されたりするのは、とても恐ろしいことだと思います。 残された人たちの悲しさは、ものすごいものなんだということが、この作品を通してきちんと伝わらなければならないとも思います。ただただ人を泣かせるようなドラマとはまったく違うと思うんです。だからこそ、やっぱりいろんなことを考えながら取り組まなければいけない。メイク一つとっても汗一つとっても、そこから何かを感じ取ってもらえるような表現が大事なんじゃないかなと思います。

こんなに走って息が切れて、こんなに汗かいてっていう状況を、非現実的に捉えられないようにというか、現実に起こっていることなんだと表現できるようになれたらいいなと、いつも考えています。
それと今回、この作品を撮影するに当たり、実際に満州にいた方とお話しさせていただく機会がありました。満州で両親や兄弟を亡くされていたりというお話など、話をしてくださった方の中には、60年かけてやっと今回話すことができたとおっしゃっていました。

もし自分の子供だったり家族、兄弟だったりと、普段、隣にいたはずの人が突然殺されたりとか、飢えや病気で死んでしまうといったことを想像すると…、もちろん100%は想像しきれないですけれど、その悲しみを乗り越えて行くのは本当に辛いことだろうなと思いましたし、なかなか他人に話せないとも思いました。しかし、こうしてお話を聞かせていただいたわけですから、それをきちんとドラマの中で、自分の役を通して表現しなくてはいけないと思いましたし、悲しいだけではなく、人間の強さというか、いろんな面を表現しなければならないと、その方のお話を聞かせていただいて考えました。

視聴者のみなさんへメッセージをお願いします

「生きていく上で大事なものって何だろう?」 という話し合いのシーンがあって、それは 「思いやりと分かち合い」 だというセリフがあるのですが、そのシーンには、本当に大事だと思わせてくれるものがあった気がします。きれいごとだけではない何かが、その言葉にあったような気がしますし 「思いやりってどういうことだろう?」 「分かち合うってどういうことなんだろう?」 ということを考える、きっかけになればいいなとも思います。

自分も考えているのですが、“思いやり”とか“分かち合い” とは、結局は自分に対してではなくて、他人に対してなんですよね。ということは、人と人との繋がりの中で生まれてくるものだと思う。その中で傷つくこともあるし、助け合えることもあるし、いろんなことがあると思うけど、思いやりと分かち合いでいろんなことを克服していけるはず。
それはすごく大事なことだと思いますし、つまりは自分自身の強さにも繋がるような気がします。この作品を通して、そんな想いが伝わればいいなと思います。