三浦春馬さん



原作の印象を教えてください
「生きることは常に欲求なんじゃないか」と改めて感じさせていただいた原作でした。
その欲求というものは、ときに残酷に本人を苦しめたりもするけれど、それをとても美しく見せてくれるような世界観のお話でした。
今回のドラマを通して、皆さまにも残酷に人が苦しんでいく中にも美しさを感じていただけるようなドラマに出来ればと思っています。




イギリスで書かれた小説ですが、日本でドラマ化されることについてどう思われますか?
先に映画も舞台化もしていますが、カズオ・イシグロさんは「また新しい影だったり、溝みたいなものを僕自身もドラマで見られるのを楽しみにしています」というメッセージをくださいました。うまく表現出来ないのですが…その言葉に勇気をいただき、このドラマで友彦を演じることをより楽しみに思わせてくれる、そんなメッセージだったので、本当に感謝しています。そのメッセージに甘えず、突き詰めて演じていきたいなと思いました。





幼少期の友彦を演じる中川翼くんのお芝居を見に行ったそうですが…
見学させていただいたのは、友彦がかんしゃくを起こすという重要なシーンに純粋に興味があったから…だったのですが、今回のドラマにおいて、今までの僕の経験と違うところはやはり、登場人物の生涯を演じるというところ。幼少期が描かれるのは、ドラマにおいては短い時間ですが、友彦の人生を一貫して視聴者の皆さまにお観せしなければいけないという点で、僕が演じる友彦の青年期と幼少期をきっちりと合致させることを大切にしていかなければいけないと思いました。なので幼少期を演じる中川翼くんの友彦の存在をきちんと目に焼き付けたかったし、彼の声の発し方や、ちょっとした仕草を知っているのと知っていないのとでは大きく変わってくると思いました。
実際にお芝居を間近で見て、僕も子役として過ごしていた時期があったからなのでしょうか…感慨深く感じました。私情を挟んでしまいますが(笑)。まっすぐに心からお芝居を楽しんでいる彼らが見られたので、すごく懐かしい気分になりましたし、エネルギッシュでキラキラ輝いていました。




共演者の話を聞かせてください
はじめて綾瀬はるかさんと水川あさみさんのお二方と共演したシーンは陽光学苑の教室での撮影だったのですが「わたしを離さないで」の世界観にとてもあった雰囲気のなかで撮影が出来たという手ごたえを感じました。
教室の雰囲気や、スタッフさんたちが醸し出している雰囲気と緊張感、あとはお二方の空気感など、すべてが作用してそう感じることが出来たんだなと思います。
綾瀬さんが演じる恭子の、芯が強いだけではないやわらかい空気だったり、水川さん演じる美和の存在感だったり…友彦を含めたこの3人の雰囲気が、のちのちどう作用してくるのか個人的にも楽しみにしています。




「わたしを離さないで」の世界観
僕たちが過ごしている陽光学苑のロケ地も、もともとは実際に高校だったそうです。現在は有形文化財として残っていて、撮影のために使わせていただいているんですが、とても趣があり「わたしを離さないで」の世界観にかなりマッチしていたので、とてもこだわって選び抜いたロケ地だったのではないかなと思います。
衣装に関しても、生徒たち全員が灰色で統一しているので、無彩色というか、色がないような、物悲しいような雰囲気があり、実際の現場で揃って着ているのを見て、スタッフさんたちのアイデアに驚かされました。さらに、僕たちはまったく新しい衣装を着ているのではなく、この「わたしを離さないで」の世界観を表現するために、衣装を少しくたびれさせたり、汚して傷をつけたり、毛玉を作ったり…そういう些細な細かいことにこだわることで、さらに世界観をつくり上げていくスタッフさんたちの努力はやはり「プロだな」としみじみ思いますし、そういった細かいディテールもこのドラマの見所の一つになっていると思います。





視聴者のみなさんに何を感じてほしいですか?
一言で語ることは難しいのですが…
後半に向けての「どうなってしまうのか」というドキドキ感は、見所のひとつだと思います。そのなかで登場人物たちが繊細に傷ついたり、喜びを深く感じていくというような、人間の心の機微を深く深く感じていただける…そんなドラマにしていきたいと思っています。
皆さまにもドラマを通して、日ごろ見落としがちな痛みだったり、喜びだったりを自分に落としこんで、そういった感情たちを大切にしながら過ごしていただけたら、すごく嬉しく思います。




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