水川あさみさん



原作を読んだ感想を教えてください
すごく繊細な語り口で、かつ淡々と書かれていながらも、場面の状況が見えるような世界観でした。特殊な設定なので、最初は難しいのではないかと思って読み進めましたが、残酷な話に反して色鮮やかな部分もあり、すごく引き込まれました。おもしろかったです。




イギリスで書かれた小説ですが、日本でドラマ化されることについてどう思われますか?
描かれているテーマ自体においては、人種や国は関係ないのかなと思います。スジとなるものを描くという部分では特に意識することはありませんでした。




まだ明かせない"それ"を知ったとき、どう思いましたか?
“特別な使命”を背負っているということですよね?非日常的な話だと思うけれど、とてもリアリティがあるし、どこかにそういう世界観があってもおかしくないなという印象です。“特別な使命”というのは、このドラマにとって大きなひとつのテーマですが、一人の人間が生きていくうえでの使命感や、生きる意味は、あまり変わらないのかなとも思いました。生きる意味や命の尊さ、そして未来に向けて今、自分は何をすることが幸せなのか…すごく考えさせられました。人間はみんな最後は死に行く運命なのだなぁと思うと、そこに向けてどれだけ精一杯生きられるのか、自分が「全うした」と思えるような人生を歩むことの大切さを改めてこの作品で学べる気がします。





美和という役柄を演じて
美和は、自分が誰よりも上に立っていないと嫌で、とてもわがままで、人のものは自分のもの…簡単に言うとジャイアンのような人(笑)。自分の欲求や自分の気持ちに素直です。美和自身は気付いていませんが、そう生きることは意外と大変だなと思うし、そういう風に生きられる美和を羨ましくも思います。
先日、クラスメイトたちが美和に気を使って接しているシーンを撮りましたが、感じたことのない気持ちよさがありました…今までに味わったことがなかったです(笑)。




美和を演じていて、おもしろい、または難しいと思うことはありますか?
美和は、とても素直ですが、平気で嘘をついたりもします。でもそれは嘘なんだけど本当のことなんです。どの役にも共通しますが、簡単な感情ではないというか「怒る」「悲しい」という感情が一枚ではなく、何層にもなっていて、それを全部表現しなければいけないんです。複雑な気持ちを皆が持っていて、その奥行きを出すことが演じていてすごく難しいです。本当にそこに生きていないと出来ない気がします。





「わたしを離さないで」の世界観
細かいことですが、衣装ひとつにしても、セットひとつにしても、メイクひとつにしても…各部署の皆さんがその世界観を全うしてくれているから、世界下に入りやすいです。
陽光学苑での制服の破れや、細かい毛玉や、寮の電球についている埃とか、そういった細かいディテールをその世界に組み込んでくれているから、その場所に入っただけで空気感を読み取ることが出来て、ありがたさを痛感しています。




共演者のみなさんのお話を聞かせてください
綾瀬はるかさんは、圧倒的な存在力があり、彼女自身が発光している感じ(笑)。
美和が恭子のものを欲しかったり、羨ましく思ったり、求めたり…という気持ちが、綾瀬さんを通じてよくわかります。綾瀬さんは恭子という存在がぴったりで本当に素敵な人。気付いたら目で追ってしまうような存在です。
三浦春馬さんは、まだお芝居でセリフを交わしていませんが(三浦さんご自身は)とても真面目な方ですし、トモという人物をつくりあげようと一生懸命世界に入ろうとしているのを見ていると…役者ってすごいなぁと思います。私も一応そうなんですけどね(笑)。





最後にメッセージをお願いします
すごく特殊な世界観のお話で、観ていて苦しいと感じる部分もあるかもしれませんが、描かれているテーマは、愛や命、そして未来の尊さ…人が生きるうえでの根本がたくさん詰まっているお話です。皆さんにもこのドラマを通して、そういった部分を考え直すきっかけになっていただけると嬉しいなと思っています。



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