水戸黄門大学

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学部(がくぶ)

東海道五十三次

第28部 / [11] 吉田
*東三河の中心
吉田宿は東三河の中心都市豊橋市の中心部。三河とは豊川、乙川、矢作川の三つの川からなる国で三河と名が付いたそうだ。またの名を「穂の国」あるいは「瑞穂の国」。また豊川、豊田、豊橋、豊明など豊と名のつく市が多く、豊かな土地と言うイメージを与えてくれる。
実際、昔から吉田宿栄えていた。宿場町であり城下町でもあり、そして港町でもあった。豊川沿いの「湊町」、「船町」は今でも地名に残る吉田湊の拠点地域だった。豊川上流から運ばれた物資はここで回船に積み替えられ、江戸に向かった。伊勢参りをここから船で向かう旅人も多かった。
吉田の名は以前は今橋と言い、それが「忌まわし」と縁起が悪いと言う事で、「吉」の字を使い「吉田」となったそうだ。明治に入り、豊川に掛かる橋の名、豊橋からとってその名に変わった。日本人は名前を付けるのに縁起を担ぐ事が好きだがこの地は特にそれが強い様に思う。
豊橋も空襲の為、市街が焦土と化し、当時を忍ばせる古い建造物は何もない。湊町、上伝馬町、札木町、魚町、大手町、曲尺手町(かねんてちょう)、鍛冶町、等は昔のままの名を使って当時を忍ばせてくれる。
今の豊橋で落語発祥の頃を思わせる物に出会った。落語家の名前も洒落で出来ているのが多い。江戸落語の祖、三笑亭可楽は「山椒は小粒でひりりと辛い」からもじって名を付けた。素人落語家の活動が盛んな所。名前を聞いただけで職業が分かる面白い名、成田家紫蝶(なりたやしちょう)は公務員、髪屋三代(かみやさんだい)は床屋、駒久家南朝(こまくやなんちょう)は耳鼻科、等、かなりの人数で大々的に落語会を行っている。これほど熱心に素人落語会を開いている町は他にないのではないだろうか。昨年のこの宿での宿場寄席も素人さん達が定期的に開いている会場をお借りしてやらせてもらった。その旅館の名も「大黒屋」。縁起がいい。
今回の水戸黄門吉田宿のテーマは「狐の嫁入り」。隣の豊川市に豊川稲荷はある。違和感を感じてしまう人もいると思うが、今の市町制と昔の区分が違っているのを知っていて頂きたい。たとえば前回の新居宿は今も新居町であるが、関所は江戸後期から県境を越え吉田藩(豊橋市)が管轄していた。豊川市にある宿場は御油(ごゆ)宿。この松並木は当時のままの土塁(土手)に松が生えている。天然記念物に指定されていて大変貴重な文化遺産だ。
話は豊橋にもどすが、この地の人達は独特の文化を持っている。それは地理的関係もある。落語には「江戸落語」と「上方落語」の二つある。その中間にあると両方の落語を聞いて笑える土地でもある。落語に限らず両方の文化をうまく吸収して発展させる土地だ。こと落語だけみても落語の創世期を思わせる素人落語の活発な活動を通して江戸とも上方とも違う三河落語を新しく発生させるかもしれない。豊橋はもっともっと知りたくなる町だ。
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