インタビュー

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杉山真太郎役 谷原章介さん

──撮影現場の様子や雰囲気はいかがですか?

台本という、平面的というか二次元のものを立体にするために、いろいろと試行錯誤しながらやっているところです。それは、僕だけではなくて、そのほかのキャスト、全スタッフみんなで、どうしたらもっと良くなるんだろう? と考えながら現場は進んでいます。そんな現場の空気感は、とても良いものになっていると思います。この作品は刑事ドラマなのですが、刑事ドラマではあまり描かれることのない家族とのシーンもありまして、そこは僕自身演じていて面白いなと感じているところです。

――この度演じられる杉山という人物像をどう捉えてらっしゃいますか?

まず、杉山という男を演じる上で、“公”と“私”の狭間で汗して頑張っている姿を、みなさんに観ていただきたいと思っているのですが、杉山は自分の仕事に関してはプライドを持って臨んでいる一方で、家族というものも、杉山という男が生きていく上で欠かせない大切なものなんです。ですが、そこで選択を迫られる瞬間が第1話で訪れます。「何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない」というセリフも出てくるのですが、家族を選ぶのか、仕事を選ぶのか? この究極の選択に対してどう向き合っていくのか? たぶんこれは最後まで引っ張っていく要素になると思っています。
杉山は20代〜30代と仕事に邁進してきたと思うのですが、それが40代になって少し肩の力が抜けてきて、仕事をバリバリこなして犯人を逮捕するだけじゃなくて、人生において大切なことってなんだろう? と考えられるようになってきたのかなとも考えています。

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――そんな杉山の公私を演じる上で気を付けていることというと?

特に意識をしているというわけではなくて、そのときそのとき共演される方たちと向き合うことで、自然と杉山という人物ができてくるのだと思っています。例えば、本田望結ちゃんや子供たちとのシーンでは、子供たちが自然と子煩悩な杉山という空気感に僕をさせてくれますし、要潤くんや刑事課の人たちとのシーンであれば、相手の役者さんが僕をそちらのモードへ連れて行ってくれるので、家族とのシーンだからこうとか決めつけて臨むのではなくて、周りのみなさんのお力をお借りして演じさせていただいています。
それと、高橋惠子さんが演じられる青柳芳江さんという人物は、ちょっと壁のある義理のお母さんなのですが、「あなたには心を許していませんよ」と醸し出す雰囲気がすごくいいんですよね(笑)。
個人的なところでは、デビュー20周年を迎えて一つの大きな節目となる年の仕事になるのですが、気負うことなくスタッフやキャストのみなさんと共に笑顔で撮影が進む環境がいちばんかと思うので、そうなるよう心掛けたいと思っています。

――共演されるみなさんの印象というと?

まず刑事課のみなさんですが、すごくバラエティーに富んだメンバーだと思います。この度、初めて共演させていただくのは署長の鎌本さん役の榎木孝明さんと、婦警の澤みどりさん役の永池南津子さん、それと高橋惠子さんなのですが、その他のみなさんは知っている方ばかりなので、とても心強いというか、一緒に演じていて楽しいです。
中でも、村田刑事を演じている石黒英雄くんが、なぜかわからないのですがすごく慕ってくれているんですよね(笑)。
子役は、望結ちゃんをはじめ、長男の海人役の須田瑛斗くんも次男の岳役の松浦理仁くんも、本当に可愛いんです。望結ちゃんは長女役というだけではなくて、普段から瑛斗や理仁の面倒をよくみてくれています。一緒に遊んであげて、子供たちの気を紛らせてくれますし、ここはちゃんとしなきゃいけないというところは、しっかり引っ張ってくれるんです。大人から注意すると、強くなりすぎることも多々ありますが、そこを望結ちゃんが言ってくれることによって、自然な流れを作ってくれるんです。

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──撮影の中や物語の展開で楽しみにしていることはありますか?

刑事ドラマだけでなくて、どのドラマも最終回、クライマックスに向かっていくと大きな事件が出てくるものですが、大きな事件だけではなくて、普段の生活の中にあるちょっとした出来事をモチーフにしたストーリーなどを描かれたら嬉しいです。サスペンスの謎解きだけではなくて、そこに秘められている人間の想いなども心を揺さぶられると思うので、登場人物の心情など、より人間的なところを掘り下げるようなドラマになればと良いなと考えています。

──ズバリ、このドラマの見どころというと?

今まで演じてきた刑事でいうと、ちょっとクセのある役が多かったのですが、この杉山に関していえば、特殊能力があるわけでもなく、なにか宿命を背負っているという縦軸がありつつ毎回に事件が起こるというわけではありません。全編を通して、刑事という職業と家族との狭間で思い悩むというところはありますけど、基本的にはどこにでもいる等身大の人間が描ければ良いなと思っています。
僕自身、42歳という年齢で家族があって子供がいまして、こうして連続ドラマの仕事となると一日の時間の大半を仕事が占めることになるので、家族と向き合う時間は少なくなってしまいます。もちろん、仕事は大事なことですけど、家族と過ごす時間がなくなるというジレンマもあるわけで、杉山に対してとても共感するところが大きいですし、ドラマをご覧になったみなさんにも共感していただけるはずです。
事件を解決するまでの過程はもちろん、家族を描いている部分も楽しんでいただけるところですが、この作品を通して“人間”を描いていけたらと考えていますので、登場する人たちに魅力を感じていただけると嬉しいです。

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