1月8日放送
備前焼 産土の窯 伊勢﨑淳と晃一朗

釉薬を塗らず、絵付けもしない。日本六古窯のひとつ備前焼は、土と炎だけで描く極めてシンプルな焼き物で、800年の歴史を持つ。

在世で唯一の人間国宝・伊勢﨑淳の陶歴は、約半世紀前、亡くなった父や兄と山裾の穴窯を復元したことに始まった。

古の窯・穴窯は量産に適した登り窯の登場で、一度は備前で失われたが、約100年ぶりの復元に成功。淳は穴窯特有の鮮やかな焼き色で、斬新な作品を次々と発表し、やがて人間国宝となった。

しかし、いまや86歳。復元した窯はここ数年、埃をかぶっていたが、2022年春、淳は晃一朗に「一緒に焼かないか」と声をかけられる。晃一朗は、「影響を受けすぎてはならぬ」と淳の工房を離れ、十数年、作陶に励んできた一人息子で、あの窯を切り盛りするのは初めてだった。

もちろん2人の作品で窯を埋めるのは初めて。山裾の穴窯は親子の備前をどう焼き上げるのか。ものづくりの道を歩む陶工たちのひと夏を追った。

製作:RSK山陽放送
ディレクター:楢﨑基弘