8月18日放送
ダライ・ラマ — まだ見ぬ祖国を夢見て

今、中国では「宗教」と「言葉」が失われている。

原因の一つは2015年から行われている「宗教の中国化」。信仰よりも中国共産党への忠誠を優先させるもので、年々「宗教の自由」への制限は強まる一方だ。

言葉、も同じである。

9割を占める漢民族への同化政策が推し進められ、少数民族特有の言語や文化が失われつつある。

少数民族のひとつ、チベット族の人々が多く暮らす地域。しかし、ここにチベット仏教の最高指導者「ダライ・ラマ14世」の写真はどこにもみあたらない。中国政府が信仰を禁止しているためだ。ただ、信仰は人々の心の中で息づいている。「ダライ・ラマがいないのは辛い」。人々はこっそり私たちに打ち明けてくれた。

中国共産党政権と対立したダライ・ラマは65年前インドに亡命。ダライ・ラマに従って多くのチベットの人々もまた、インドに向かった。今も中国の圧政を嫌い、インドへ逃れる人が後を絶たない。

チベットで今、何が起きているのか?ダライ・ラマはいつか中国に戻るのか?私たちは中国とインド双方の取材を通じ、チベット族の今を中国の内側と外側から描くことを試みた。

今の中国政府の政策が続けば、中国国内の宗教活動も、少数民族の言葉もいずれ絶えてしまうだろうと多くの人が危機感を抱いている。2024年の今しか描けない中国、2024年の今しか描けないチベットの姿をお届けする。

製作:TBSテレビ