「きみちゃん」は、身体が女性で心が男性のトランスジェンダー。パートナーの「ちかさん」とは、男性同士のカップルだ。「きみちゃん」のおなかには、新しい命が宿っている。

「きみちゃん」はかつて、性別適合手術を受けることを決断していた。戸籍の性別変更には、生殖腺がないことが条件だ。しかし「ちかさん」と出会って、戸籍を女性のままにした。日本では、戸籍の性別を変えるには子どもを持つことを諦めなくてはならない。

一方で、トランスジェンダー女性の「ありすさん」は、手術を受けることを決断。トランスジェンダー男性の「崇来人さん」は、性別変更に身体の負担が大きい手術は必要ないと訴えてきた。

「性」という漢字は、「心」から転じた立身弁と、「生」というつくりでできている。「生まれながらの心」という意味だ。

自分らしく生きようとする人たちの希望ともいえる、2人の新しい命。しかし思いがけない形で、赤ちゃんと対面することになる。