8月15日放送
李鶴来(イ・ハンネ) 不条理と闘った男

【不条理】物事の筋道が通らないこと。道理に合わないこと(広辞苑)

不条理と闘い続けた韓国籍の男性が96年の人生に幕を下ろしました。李鶴来(イ・ハンネ)さん。
植民地下の朝鮮に生まれ、太平洋戦争では捕虜収容所の監視員を務め、戦後、BC級戦犯として一度は死刑判決を受けます。当時22歳の若者が日本軍の戦争犯罪の一端を担わされたのです。

その後減刑されますが日本政府の対応は不条理なものでした。
日本人として戦争責任を問われ裁かれながら、日本国籍がないことを理由に当然受けるべき援護から排除されたのです。

「都合の良い時は日本人 都合の悪いときは朝鮮人」

李さんの残した言葉です。李さん自ら味わった不条理を見事に表した言葉です。

李さんは60年以上にわたって戦犯の汚名を着せられた同胞たちの名誉回復と補償を求めて闘ってきましたが、不条理は解消されませんでした。

戦後76年。李鶴来さんの死によって日本人、そして日本という国家は戦争に自らけじめをつける機会をまた失ってしまいました。

製作:TBSテレビ
ディレクター:日下部正樹