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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

「選挙後3つに割れる」

塩川:3つぐらいに割れてくると思うんですがね。それは1つは一番自民党の本来的なオリジナルな党員ですね。この人達は数こそ力であると充分知っている議員なんでね。割と年配の人が多いんですね。このグループ(○)が出来ると。それからですね。もう1つは政策がやっぱり自民党と「政治姿勢が違う」という政治性とか政策で分かれる人がいると思うんですよね(□)。もう1つは選挙の都合で出てくる人があると思うんですね(△)。こういうのに分かれると思うんですね。私はこれは(○)は相当な数になる。ちょびっとずつこう(□と△)になると思うんです。それはかつて「新自由クラブ」だとか、「さきがけ」だとか、衛星が地球からポンポンと飛び出していきましたよね。ああいう衛星が出来るだろうと思うんです。が、衛星がはぐれカラスにならように固まっていくんだろうと思うんですよ。この人達は選挙後に第一党であろうが、第二党であろうがですね、第三党(公明党)と組んだところ(与党)に走っていくんだろうと思いますね。

御厨:その場合、元祖は割れない。例えば森さんなんか恐らく割れないでおられるんだろうけど、割れる方は、「さきがけ」とか「新進党」とか思い浮かべてみますと。園田さんが出て行くという事は武村さんどうでしょう?

武村:与謝野・園田グループかもしれませんね。与謝野さん大臣だけとも。財政については正直に発言してる人達ですから、若い人もいると思いますが、政界再編はさけられないという信念を持ってますね。このグループは。


とめどない委員室での質疑に腹を立ててるうちに夕方になっていた。あわてて、外に出て約束の人との待ち合わせに急いだ。いつものように、うっそうとした木に囲まれたその建物の一部屋でビールは進み、私の政界再編の語り口もいつしか興奮気味になっていった。

するとその人は、「もうそろそろ話してもいいと思うんですけど」と、おもむろに書架から本を取り出した。そして、「15年前のあのころ、私たちは政治を変えようと、この人の下に集って、何回も勉強会を繰り返し、1年半ほどかけてこの本をまとめたんですよね」と言うのだ。

そして、目次のページを開けると、「前文は本人、そのほかは、ここは北岡伸一、ここは竹中平蔵、ここは飯尾潤、ここは伊藤元重、ここは御厨貴…」と項目を指し示すのだ。その著者である政治家は当時、私の担当していた人だったが、不覚にも知らなかった。今やあちこちで活躍するそのそうそうたる研究者たちが15年前の若きころ、政治への思いを胸にその政治家の下でひそかに集い、あの政界再編の準備をしていたというのだ。

驚愕していると「石塚さんのような番記者さんたちに気づかれないように、ホテルで集まるときは厨房口から入ったりいろいろしましたからねえ」と本を閉じた。空いたビール缶と柿の種が散らばったテーブルの上に置かれたその本は「小沢一郎著 日本改造計画」だった。そして、その人は「今でもこんな準備がどこかで進んでいるんだと思いますよ。政界再編に向けて」と、言うと日本酒の入ったコップに手を伸ばした。

※本原稿は新・調査情報11〜12月号に掲載されています。

石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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