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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 

塩川氏「国が間違っとる」

御厨:コラムを読んでみます。私は昭和21年の復員後から60余年、86歳の今日まで無我夢中で働き、懸命に人生を歩んできたつもりだ。しかし、その紙切れは私の人生を否定するものでしかなかった。世間や社会の「別枠」「邪魔者」になってしまったのか…。例えようのない寂しさ、悲しさに襲われた。新制度の対象とされた75歳以上の人々のだれもがそうであろう。先日も大阪から東京に向かう新幹線の中で見知らぬ高齢の男性から「わしらはもう死ねということですか。」と涙目で訴えかけられた。私は「国が間違っとる」と返すのがやっとだった。こうありますが。

塩川:私はこれ情けないと思うのはですね。「あんた扶養家族から外れた」ということなんですね。これはね、私の息子は娘はですね、一生懸命私のためにやってくれてますよ。それはちっとも不自由とは感じてないんですけど、制度的に、医療制度の制度から「あんたを扶養家族から外れる」ということは「あんたは人生の終末期に入ったんですよ」と言わんばかりの話だな。これはちょっと、そのまま置いといてくれたら良いんですよ。それよりも「あんたはちょっと収入があるんだからあんたちょっと保険料負担してくれんか」と言ったら、喜んで負担しますよ。

番組の後、塩川氏は控え室で「今日は言ってやった」と、吹っ切れたように語った。この回、番組が200回を迎えていたのを機にささやかなる「特製どら焼き」6個入りプレゼントで、意見を求めたら、ハガキは3000通も届いた。いずれも「後期高齢者医療制度」に怒ったり悲しんだりしていた。

しかし、そんな「主権者」たるお年寄りの思いを真正面からとらえ考えていくことを「ポピュリズム」とする自民党幹部の発言が、その後も続いた。そんな中、今度は中曽根氏がスタジオで自らの「後期高齢者保険証」をかざして制度の撤回を呼びかけ、自民党に警鐘を鳴らした。放送2日後が90歳の誕生日だった。


中曽根氏「役人の言っていることをそのまま受け入れて…」

中曽根:これは福田さんは恐らく役人の言っていることを、そのまま受け入れてね、表へ出そうとしたと。それでしかし75からを「後期高齢者」とか特別な名前を付けてね。長寿、長寿とはやし立てて、ご機嫌は取っているけれども、「後期高齢者」と言う名前が実に冷たい、機械的な名前ですよ。おじいちゃんという印象じゃないんですよね。そういう愛情の抜けたやり方というものに対して老人が全部反発している。やっぱりガソリンを上げたり下げたりしましたね。あれと老人をこうやって痛めましたね。これが非常に大きな痛手になっちまった。支持率も20%を割って、至急、これは元に戻してね。「新しくもう1回考え直す」そういう姿勢をハッキリ早くとる必要がありますね。

そんな中、そう言えば野中広務氏は、以前から怒っていたような気がして、調べてみるとなんと1年半前から問題を指摘していた。でも、これは手元で分かった分だけなので、どうも小泉ブームの下で法律が成立した時に既にプンプン怒ってた気もするのだが。今もなお野中氏の不公正な差別に対する感覚は研ぎ澄まされている。

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