◆「歯止めが・・・」 野中氏・藤井氏(2007年5月20日)
では、なぜ、私たちの国はそんな風になってしまったのか。その事を、番組の中で、寺島実郎氏は語り始めた。
◆「ワーキング・プア(働く貧者)が…」 寺島実郎氏(2007年5月13日)
この続きは、寺島氏は次のように考える。「年収500万円から700万円台の都市中間層からすれば、年収200万円未満のワーキング・プアの増大は、『オレはまだましだ』という相対的な階層意識の浮上感覚をもたらした。自分の可処分所得も下落し息苦しいはずだが、資産家の没落とワーキング・プアの増加にはさまれて、虚偽意識として階層意識の混乱が起こっている。このことが都市中間層の保守化という空気を醸成し、『改革』は望むが自分の相対的優位は確保したいという心理状況をもたらしているともいえる」(「世界」2007年4月号)。「小泉改革」の中で、リストラなり傷ついたサラリーマンが、「腹を立てる」よりも、さらに「下」がいることで「溜飲を下げる」状況。「差別」の構図だろうか。そして「知らぬふり」をする風潮。
大したモノは持っていないのに、持った気になっている(もしくは持った気になろうとしている)状況。そんなことを考えたら、10年前に新聞記者時代に書いた記事を無性に読みたくなった。新年の元旦に始める1面の正月企画で、アジア8ヶ国を一人で歩いて回って書いた記事なのだが、題して「『何もない』こそ働くバネ」。「ベトナムで戦後間もない日本人に会った」「タイでは40歳の若き『松下幸之助』に会った」「シンガポールでは『盛田昭夫』に会った」と、今にして思えば何とも大胆な語り口なのだが。そして、最後にこうまとめていた。「無一物無尽蔵。本田技研工業の創業者『本田宗一郎』の自宅には、こんな掛け軸があった。貧困をバネにだれもが奮起する。それは、つい昨日の日本人の姿だった。
持っているつもりになって、無かったころの「大事なモノ」を忘れてしまった。そして、政治は「都合良く」それを利用していく。そんな中で、現職の大臣が自殺をしていく。この国の政治状況は、今、異常である。
※本原稿は新・調査情報7〜8月号に掲載されています。
◆石塚 博久 (いしづか ひろひさ)
'62 東京都足立区生まれ。早稲田大学卒業後、'86日本経済新聞社に入社。大阪、名古屋、仙台支局(このとき、「みちのく温泉なんとか殺人事件」に出るような温泉はほとんど行った“温泉研究家”でもある)に。
東京本社政治部で政治取材の厳しい(「虎の穴」のような)指導を受け、新聞協会賞(「閣僚企画」共著)も。
'96TBS入社後は、報道局政治部記者、「NEWS23」のディレクターを経て、「時事放談」制作プロデューサー。

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藤井氏:そうですね。私はね、やっぱりこのほかの国は色々問題あるのに、日本はスッと通ったっていうお話なさいましたがね、やっぱりね、このイラク戦争がそもそもね、いいのかどうかっていうとこ、もっと議論しなきゃいけなかったと思うんですね。