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「グット・ルーザー(良い敗者)」 筑紫哲也氏(2007年4月29日)

筑紫氏:例えば沖縄の集団自決の問題もそうなんですけれども、色んなことをですね、歴史で今までいわれたことを修正していこうとするリビジョニストっていうの、必ずいつもいるわけですね。そのことはいいんですがね、やっぱり最近のこれ全体で、僕がすごく気になるのはですね、一言でいえば潔くない。つまり吉田茂さんという総理大臣がそれこそ戦後つくった人が、「日本の100年、なぜ日本がこれだけ成功したのか」っていう短い論文書いてますが、それは我々がグッドルーザーだったから。つまり負けぷっりがよかったからだと。で、近代化の時も下関なんかで砲撃されて、負けるわけですよ。負けた時に、これはいかんということで、やっつけた敵から色んなものを学ぼうとする。占領の時もそうだと。色々言いたいことはあったけども、しかしそこで潔く負けたからこそ戦後はつくられたんだという。麻生さんのおじいさんですよね。

御厨氏:そうですね。

筑紫氏:がそう言ってるんで、もうちょっとね、なんていうか、歴史っていうのはどこの国だって間違えもするし、いろんなことがあるんで、そこのところはっきりいうと、負けた場合は我慢してでも潔くいるべきだと思うのが、今ぞろぞろぞろぞろ、「ここは違う。狭義の広義の」っていうようなこと言い出していること自身が、僕は日本人らしくないと思うんですね。

反省して、学んで、改善して、成長する・・・。「知ったかぶり」の中では、それができない。都合の悪い事を無かったことにしようということにあがなえない。

そんな中、この国会では「普通の国」へと邁進するかのような法律が国会の終盤になって次々と成立した。イラク戦争を支持した英国では大統領が替わり、アメリカでは大統領の支持率が過去最低まで落ちる中で、この国ではイラク特措法の延長、憲法改正に向けた国民投票法などが「スンナリ」と成立するのだ。そして、集団的自衛権の論議が「わかりやすい顔ぶれ」のもと総理の諮問機関で始まった。そんな中、「知ったかぶりをしない」怒れる「戦中派」の二人は、激しく警鐘を鳴らした。

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