放送内容
地中海の西端に突き出したモロッコの半島にテトゥアン旧市街はある。山の麓の斜面に作られた東西2kmほどの街で、高さ7mもの城壁に囲まれている。街の中は細い道がクネクネと広がりまるで迷路のよう。テトゥアンはモロッコの中でも特殊な街で、かつてスペイン・アンダルシアから海を渡ってきた人々の末裔が多く暮らすのだ。そこかしこにスペインらしさが残り、また独自の文化も併せ持つ迷宮都市、それがテトゥアンである。
スペインから来た人々
15世紀末に現在のスペイン・アルハンブラ宮殿があるアンダルシアにイスラム教徒の王国があった。テトゥアンはそこからキリスト教徒に追われて海を渡って逃れてきた人々が作った街。山の斜面に街を築き城壁で囲み、故郷と同じ白い家を建てた。
500年街を支える地下水路
スペインからやってきた人々がこの地を選んだのは水の存在があったから。山の麓の斜面には水が豊富に湧き出していたのだ。水を街中に行き渡らせるため、彼らは「スクンド」という上水システムを作った。そんな大切なスクンドを守る人に密着した。
海を渡った色タイル
テトゥアンを築いた人々はタイル文化も持ち込んだ。故郷アンダルシアには華やかな色タイルの装飾があったのだ。それがテトゥアンに渡り独自のタイル装飾・ゼリージュに発展。邸宅やモスクには必ずゼリージュの装飾が施され、今もその伝統は守られている。