放送内容
中国の南部にカルスト地形と呼ばれる絶景地帯がある。カルストとは雨水や地下水に溶かされやすい石灰岩が生んだ独特な地形だ。世界遺産に登録されている地域は7か所あるが、今回は貴州省の「茘波(れいは)」と雲南省の「石林」を紹介する。茘波は三角帽子のような山並みが特徴的な地形で、美しい滝や湖が連なる渓谷もある。「石林」はトゲトゲした奇岩が林立する荒々しい大地。様々な景観を生んだカルスト地帯誕生のヒミツに迫る。
山から噴き出す滝のヒミツ
貴州省「茘波」の渓谷には山の中腹から噴き出す不思議な滝がある。茘波は雨が多い亜熱帯気候。降った雨が山にしみ込み地下水脈を作り、その水が山の斜面から噴き出しているのだ。上流には「水中森林」と呼ばれる水没した森もあり、独特な景観を作り出している。
天下の奇観!石の林
雲南省「石林」にはトゲトゲした岩の柱が立ち並ぶ荒々しい景観が広がっている。“天下第一の奇観”とうたわれる奇岩地帯だ。古くから文人墨客に愛され、「ハスの花」や「花かごを背負った少女」など名前の付けられた奇岩もある。
水が生む伝統の技
茘波に暮らす少数民族ブイの人々は竹を原料にして紙を作ってきた。「紙漉き」ができるのは豊かな湧き水があるからだ。竹の紙は文字を書くためのものではない。人間の輪廻を表す「生老病苦死生老」という7つの刻印を打ち、それを燃やし先祖を供養するのだ。
ヒマラヤを生んだ地殻変動
「中国南部カルスト」を生んだのは太古の地殻変動だった。プレート活動によりインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突。2つの大陸に挟まれて海底に堆積していた石灰岩が隆起。広大な石灰岩地帯とヒマラヤ山脈が生まれたのだ。