放送内容
エジプトのナイル川中流域にあるヌビア地方には川沿いに古代エジプトの遺跡がいくつも並んでいた。しかしダム建設によって川の水位が上昇、遺跡に水没の危機が迫った。そこで世界各国が協力、貴重な神殿を大工事によって移築した。10か所が登録されているが、ほとんどが移築された遺跡という変わった世界遺産なのだ。人類の大切な遺産を後世に残すという「世界遺産」の考え方はここから始まった記念碑的な存在である。
移築大作戦1 島から島へ
アスワンの街からほど近いフィラエ島。紀元前4世紀に建造されたイシス神殿には多くの観光客が訪れる。実は別の島にあった遺跡を現在の島に移築したもの。20世紀初頭、下流にアスワンダムが造られたため水位が上昇、遺跡を水没から救うための措置だった。
移築大作戦2 山ごと移動
ナイルのさらに上流にあるアブ・シンベル神殿。1960年代に新たなダムの建設が決まり、この遺跡にも水没の危機が迫ったため移築された。なんと遺跡をノコギリでブロックに切り刻んで、高い場所で再び組み立てたのだ。神殿の裏には謎の巨大ドームがあった。
移築大作戦3 レールで引越し
小さなアマダ神殿も移築されたもの。これはなんと建物「丸ごと」運んだのだ。それは内部の壁に残る精細な壁画を崩すことなく移築するため。その方法は神殿をジャッキで持ち上げて、レールに乗せてゆっくり運ぶというものだった。