放送内容
太古の地殻変動で生まれたコルシカ島は“地中海に浮かぶ山”と呼ばれる。最高峰は標高2710mのチント山。岩だらけの山岳地が多く、人の暮らしには不向きなため“フランスの秘境”とも言われてきた。世界遺産は島の北西部、自然保護区のスカンドラ半島を含むポルト湾周辺だ。その一帯は奇岩の宝庫。ハチの巣のように穴ボコだらけの奇岩が山の上から海底までひしめいているのだ。島の成り立ちや奇岩誕生のヒミツに迫る。
まるでハチの巣 ふしぎな赤い断崖
ポルト湾周辺には花崗岩の赤い断崖が続いている。岩が赤いのは含まれる鉄分が酸化したためだ。断崖をよく見ると大小様々な穴ボコだらけ。これはコルシカの言葉で「タフォニ」と呼ばれる穴。潮風が運んだ塩分が付着して、塩が結晶化することで岩を削ったのだ。
溶岩が生んだ 天国への階段
スカンドラ半島には“天国への階段”と呼ばれる奇岩がある。崖の上まで階段のように柱状の岩が積み重なっているのだ。これは噴出した溶岩が地表で冷え固まるときにできる柱状節理という岩だ。この階段は海底にも続いている。かつての海面上昇で海に沈んだのだ。
地中海の赤い宝石
ポルト湾には赤い宝石と呼ばれる地中海ベニサンゴが生息している。普通は深海にいる筈のベニサンゴだが、水深30mほどの浅い海にいるのだ。タフォニなどの穴や窪みが多い岩場のため、太陽光が差し込みにくく深海のように暗い海なのだ。