放送内容
北イタリアの地中海を見下ろす断崖の海岸に、1000年前に生まれたチンクエ・テッレと呼ばれる5つの町がある。19世紀に鉄道が敷かれるまでは、船でしかたどり着けない陸の孤島だった。人々は狭い土地で生き抜くために断崖に段々畑を築き、ワインを作るブドウを育ててきた。石垣の総延長は6700キロに及ぶ。断崖の海岸には、もう一つの町ポルトヴェーネレがある。ここは海洋都市ジェノヴァの砦の町だった。
“陸の孤島”の町
陸の孤島と呼ばれた断崖の町はそれぞれ特色がある。カラフルな建物が立ち並ぶリオマッジョーレは、渓谷の斜面に生まれた坂道や階段だらけの町。高さ100mの絶壁の上にあるコルニリアは、まさに「天空に浮かぶ町」。美しいビーチが広がる町もある。
6700kmの石垣
チンクエ・テッレの断崖の海岸は段々畑で埋め尽くされている。やせた土壌だが、急斜面の畑は水はけが良くブドウを育てるには最適だった。一つ一つ石を積み上げて築いた石垣の総延長は6700km。1000年にわたる人の暮らしが生んだ段々畑の絶景だ。
海洋都市の砦
港町ポルトヴェーネレとチンクエ・テッレには城壁や見張塔がある。12世紀、海洋都市ジェノヴァの支配下に置かれたのだ。やがて平和が訪れると、段々畑のブドウで作るワインが世に知られるようになる。砦の町は「白ワインの里」と呼ばれるようになった。