放送内容
ベトナム北部に位置するチャンアンは、石灰岩の山々や鍾乳洞からなるカルスト地形。湿地に囲まれた塔のような山並みや、森に覆われた岩山を流れる洞窟河川が、不思議な景観を生んだ。さらに驚くべきは、かつてチャンアンが海に沈んでいたことだ。地殻変動により海が内陸まで侵入したのだ。岩山の崖には波蝕痕と呼ばれる海の痕跡が残されている。緑豊かな絶景の渓谷はなぜ生まれたのか。その秘密に迫る。
まるで網の目！洞窟河川
独特な景観のチャンアンは地殻変動で隆起した石灰岩大地。雨の浸食で塔のような山並みや深い谷が生れ、岩山の鍾乳洞には川が流れ込み洞窟河川となった。谷と谷をつなぐ洞窟河川の数はおよそ50。チャンアン一帯の渓谷を網の目のようにつないでいる。
川が生んだ！真ん丸の島
山間の渓谷には驚くほど真ん丸の島がある。コンパスで描いたような不思議な島を生んだのは洞窟河川だった。谷間を流れる洞窟河川が上流から土砂を運び、長い年月をかけて真ん丸の島を作り上げたのだ。チャンアンには20以上も真ん丸の島がある。
岩山に残る！海の痕跡
チャンアンは「陸のハロン湾」と呼ばれている。およそ6000年前、チャンアンの山々は海に浮かぶ島だったのだ。その証が岩山に残る「波蝕痕」という崖の窪み。そこが波の打ち寄せる海水面だった。やがて海が遠ざかり、現在のような陸地になった。
わずか200頭！幻のサル
チャンアン周辺だけに生息する固有のサルがいる。野生では200頭しか確認されていないベトナムラングールだ。私たちは断崖のような岩山で十数頭の群れを発見した。長い尻尾と白いパンツをはいたようなユニークな毛並み。野生の姿をとらえた貴重な映像だ。