放送内容
南フランスのコース地方とセヴェンヌ地方には1000年以上続く独特の牧畜文化がある。コース地方は奇岩が立ち並ぶ森や大峡谷が連なる広大な石灰岩台地だ。農耕には不向きなやせた土地でヒツジを飼い、極上のブルーチーズを生んだ。一方セヴェンヌ地方は起伏にとんだ山岳地帯。狭い土地でヒツジを育てるために、山を切り開いて放牧地を作った。夏になると麓の村から山の上まで「移牧」というヒツジの大移動が行われる。
断崖の谷!奇岩の森
コース地方は絶景の宝庫だ。垂直に切り立つ断崖が50キロ続く「タルン川峡谷」。ドロマイトという石灰岩質の硬い岩が生んだ奇岩の森「モンペリエ・ル・ヴィュー自然公園」は、崩れ落ちた壁や柱のような岩が立ち並び「廃墟のような風景」と称された。
断崖が生んだ!極上チーズの秘密
ヒツジのミルクで作った極上ブルーチーズの郷がある。山の断崖に下にある小さな村「ロックフォール」だ。古くから村人は断崖の洞窟でチーズを熟成させて青カビのチーズを作ってきた。その青カビはこの洞窟にしかない固有のもの。世界でここだけの逸品だ。
マグマが生んだ山
セヴェンヌ地方は地殻変動で生まれた山岳地帯。標高1600mほどのロゼール山は花崗岩の山。地下のマグマが固まって隆起したのだ。山肌には自然が作ったふしぎな奇岩が転がっている。草木も生えていない頂付近は、人の手で切り開いたヒツジの放牧地なのだ。
1000年続く!ヒツジの山登り
セヴェンヌ地方では夏になると1000年以上続くヒツジの山登りが始まる。麓の村々から栄養豊富な草や木の新芽を求め、山の放牧地へ大移動するのだ。かつてはヨーロッパで多くみられた「移牧」の伝統が残る貴重な場所だ。