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2017年10月15日「サンガネブ海洋国立公園とドゥンゴナブ湾=ムッカワル島海洋国立公園」

これが本来の姿!野性のサンゴ礁

ドゥンゴナブ湾は、砂漠に囲まれた海です。希少な生物の住み処にもなっていて、巨大なマンタとの出会いがありました。湾の沖合には、普段は人が近付くことのないサンゴ礁が。この砂漠のサンゴ礁には、手つかずのサンゴ本来の野性的な姿が残されていました。

──では次に、ドゥンゴナブ湾の様子を教えてください。どんな場所なのでしょうか?

石渡:砂漠のすぐ横が海なので、砂漠に囲まれた青い海という不思議な光景が広がっていました。海辺の湿地帯にはマングローブの林があって、それを食べるラクダがいました。砂漠に囲まれた青い海に、マングローブの林を闊歩するラクダという組み合わせも、奇妙な光景でした。砂漠ではマングローブが貴重な栄養源になっているのです。

砂漠に囲まれた海、ドゥンゴナブ湾。この辺りの海水も透明度が高く、砂漠との色のコントラストも不思議な感じです。

海辺の湿地帯にはマングローブの林が広がり、そこにはラクダの姿が。湿地帯のマングローブにラクダという組み合わせも、他では見られないものです。

──ここも変わった光景が見られる場所なのですね。他にも生物との出会いはありましたか?

石渡:ドゥングナブというのは「ジュゴンがいる場所」という意味で、ジュゴンの生息地になっています。また、巨大なエイ、マンタも棲んでいます。船の上からその姿を探したところ、マンタを見つけることができました。逃げないように慎重に船で近付き、水中カメラマンが潜って追いかけて、至近距離からの撮影に成功しました。

ドゥンゴナブ湾は、マンタの生息地です。船の上から姿を見つけると、水中カメラマンが泳いで近付いて撮影します。

──今回は水中カメラマンが本当に大活躍ですね。

石渡:そうなんです。ドゥンゴナブ湾の沖合にもサンゴ礁があると聞いて、向かいました。ここも世界で初めて撮影に成功した場所です。ドゥンゴナブ湾のサンゴ礁の特徴は、カメラマンの言葉を借りると「野性的」。ほとんど人が潜ることがないサンゴ礁なので、欠けたりすることなく巨大に成長したテーブルサンゴなど、砂漠の沖合に、まさに手つかずの豊かな海の森が広がっていました。本来のサンゴ礁とはどんな姿なのか、ご覧いただけます。

手つかずのまま育った、ドゥンゴナブ湾のサンゴ礁には、独特の野性的な雰囲気が残されていました。地球が生み出した自然な姿を見せる、貴重なサンゴ礁です。

──野性的なサンゴ礁の姿を楽しみにしたいと思います。数々の不思議な光景が見られる番組になりそうですね。

石渡:はい。今回の撮影は水中班のほか、陸上班も編成しました。陸上にも奇妙な光景がありました。ポートスーダンができる前の港町、スワーキン島の旧市街跡です。ここはかつてオスマン帝国が奴隷貿易に使っていた場所で、海に突き出した丸い島です。この街の特徴は、建物がサンゴでできているところです。サンゴを切り出してレンガのように積み上げ、サンゴを焼いて粉にしたものをセメント代わりにして固めています。海に面した街なので、潮風や湿気に強いサンゴが使われたのです。ここにも、街全体がサンゴでできているという不思議な光景を見ることができました。

陸上には不思議な光景が。かつて港町として栄えていたスワーキン島の旧市街跡。街全体が、潮風や湿気に強いサンゴでできています。

──最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

石渡:スーダンのサンガネブ海洋国立公園とドゥンゴナブ湾では、他にはない不思議な光景がたくさん見られる場所でした。今回は特別に許可をもらって、世界で初めてテレビカメラが入りました。美しい海とそこで暮らす動物たち、それらが織りなす不思議な光景を、水中カメラマンとドローンが大活躍して撮影した世界初の貴重な映像でたっぷりとお届けします。お楽しみに!