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スペシャルインタビュー 杏さん&大橋トリオさん

10月からの『世界遺産』は、新ナレーターの杏さんがナビゲート。新しいテーマ曲は大橋トリオさん。

10月1日、8日と2週にわたって放送される『紀伊山地の霊場と参詣道』から、番組のナレーションとテーマ曲が変わります。ナレーターは女優の杏さん、新しいテーマ曲は大橋トリオさんが担当します。『世界遺産』に新風を吹き込むお二人に、放送に先だってお話を聞かせてもらいました。

大橋トリオさんインタビュー

番組のオープニングとエンディングに流れる音楽は、大橋トリオさんによる新曲。優しい歌声と多彩な楽器を組み合わせ、映画やドラマ、CMの音楽制作、アーティストへの楽曲提供やプロデュースと、幅広く活躍する大橋トリオさんに、レコーディング直後の手応えを聞いてみました。

曲作りはいつも不安がつきまとう。でも、最後はキラキラした音になるんです。

──レコーディングが無事に終わりました。オープニング曲、エンディング曲ともに聴かせていただきましたが、軽快でありながら、厚みのある音色が印象的な曲ですね。最初に『世界遺産』のテーマ曲のオファーがあったとき、どのように思われましたか?

大橋トリオ(以下、大橋):最初に考えたのは、歴史ある世界遺産というものに対して、新しい自分の音楽でどう立ち向かえばいいのか、ということでした。大昔の人や遺跡、雄大な自然に対して畏れ多いものがあって。それと、僕にとって『世界遺産』のテーマ曲は、初代の鳥山雄司さんなんです。壮大な曲だったので、そこからどれくらい変えていいのだろうというところで、自分の中でなかなか答が出てこなかったですね。

──その意味では、とても大橋トリオさんらしい曲に仕上がったように感じます。

大橋:そうですね。最終的には、“大橋トリオのポップス”というところに落ち着きました。音楽をやりたい、音楽家になりたい、と思っていた中で、『世界遺産』のテーマ曲というのはすごい存在感があったので、「いつかはああいうものをやりたいな」と思っていました。

──今回の曲で表現したかったのは、どういうことだったのでしょうか?

大橋:『世界遺産』という番組なので、“ワールド”という大きな規模を感じてもらえるものがいいなと思っていました。それを表現するために、いろいろな楽器が入る曲を作りました。

──どれくらいの種類の楽器を使っているのですか?

大橋:全部挙げてたらキリがないのですが(笑)。ドラムもシンセサイザーも何種類か入っていますし、ギターも2本入ってるし、アコースティックギターも入ってるし、ピアノも入ってるし、マンドリン、フルート、それにインドのシタールとタブラーも入れてますね。そこに声とコーラスを入れて、曲に厚みを出しました。「大橋トリオ」といっても一人のユニットなので、一斉に演奏して録る、というわけにはいかないんですよ。でもその結果、自分の中の“ワールド感”をうまく込めることができたかなと思います。

──声の入り方も印象的ですね。大橋さんのキャラクターがまたひとつ強く出てくる感じがしました。

大橋:よく「声が楽器みたいですね」と言われるんですよ。それがいいのか悪いのかわからないですが、曲にはなじみやすいと感じています。その意味でも今回は、うまく曲にはまったように思います。

──普段はどのようにして曲を作ることが多いのですか?

大橋:ピアノですね。マイクも立てておいて、ピアノを弾きながら声もいっしょに録っていきます。ひとフレーズ浮かんだら、それにドラムとかベースを入れて、ギターを重ねて肉付けしてみて、それからその先を作るという感じですね。今回はコード進行が先に浮かんできて、その後にメロディーを考えていきました。

──レコーディングが終わった段階で、今できている曲に対して率直にどのように思っていますか?

大橋:毎回思うことなんですけど、デモを作った段階では、すごく不安なんですよ。期限もあるし、いつまでも考えているわけにもいかないので、ある段階で完成したフレーズを出します。それでOKをいただいたとしても、「これにどうやって肉付けしていけばいいだろうか」という思いが残るんです。でも、スタジオに入って録音して、調整しながら録り直して、という作業をしていると、必ずどんどん良くなってくるんです。だから心配する必要はないとわかってるんですけど、今回も最初は不安がありました。昨日からスタジオに入って、録音しながら音を重ねてきましたが、やっぱり曲がどんどんキラキラしてきて、よかったと思っています、今。

──では、大橋トリオさんの音楽を楽しみにしているみなさんに、メッセージをお願いします。

大橋:今回の曲は、世界遺産とまでは言わずとも、みなさんの記憶に残るような曲になればいいなと思って作りました。僕は以前から「音楽で平和を」と考えていて、今でもそれは常に意識しています。それってそんなに簡単でも単純でもないってことも、痛いほどわかっています。でも僕の音楽を聴いて「癒される」とよく言っていただくのですが、平和ってそういうところから始まることもあるのかなと思っています。今回『世界遺産』に参加させてもらって、世界遺産をまずは知ってもらうということに貢献できるのも、その延長線上にあるように思います。番組ともども、音楽も楽しんでいただければうれしいですね。

大橋トリオさんの作曲の新しい世界遺産のテーマ曲とインタビューの映像はこちらから。

「世界遺産」メインテーマ曲
「鳥のように」

「世界遺産」エンディングテーマ曲
「つくる世界」

「世界遺産」メインテーマ曲
「鳥のように(歌詞入り)」

<大橋トリオ>
もう一人の大橋トリオとも言える作詞家miccaに作詞してもらいました。我々が考える世界遺産の歴史は計り知れないですが、この曲を聴いて少しでも世界を旅しているような空想の世界、または、希望の世界を感じてもらえるように歌いました。

「世界遺産」エンディングテーマ曲
「つくる世界(歌詞入り)」

<大橋トリオ>
"鳥のように"と同じ気持ちですが、我々がこれから作るであろう世の中は、より良い方向に向かってほしいと願ってます。