特集

2017年5月7日、14日「南米の大自然 イグアス国立公園/中央アマゾン保全地域群」

南米の2つの大自然!イグアスの滝 & アマゾン川を行く

5月7日と14日の放送は、2週にわたって南米を代表する大自然をお送りします。まずは、世界三大瀑布に数えられるイグアスの滝。ここでは、月が明るい夜に現れる虹“ルナレインボー”を目撃します。そして、世界最大の川、アマゾン川と、流域に広がる熱帯雨林。雨季に水没するジャングルに、一風変わった姿をした幻のサルが棲んでいました。大自然の中での取材を終えたばかりの、柳沢ディレクターに話を聞きました。

流れる水量は世界最大!虹をまとう滝“悪魔ののど笛”

ブラジルとアルゼンチンの国境地帯にある、イグアスの滝。この長さ4キロにも及ぶ巨大な滝は、1億年以上前、南米大陸が分離したときに生まれた溶岩台地を流れ落ちています。そこには、轟音と共に大量の水が落下していく荒々しい姿と、一方で見せる幻想的な美しい情景がありました。

──今回は2週続けての南米の大自然の紹介ですね。まずはイグアス国立公園からお話を聞かせてください。

柳沢ディレクター(以下、柳沢):イグアス国立公園は、ブラジルとアルゼンチンにまたがる亜熱帯の密林地域です。その中心にあるのが、白い水煙を上げ続ける巨大な滝、イグアスの滝です。この巨大な滝を、ブラジル側とアルゼンチン側から、それぞれ取材しました。

大小300もの滝が、幅4キロにもわたって連なるイグアスの滝。流れ落ちる水の量は膨大で、世界一と言われています。

──イグアスの滝にはどのような特徴があるのでしょうか?

柳沢:イグアスの滝は世界三大瀑布のひとつに選ばれています。滝と言っても、1本の滝が流れ落ちているわけではなく、大小300近い数の滝が連なっていて、横幅は何と4キロにも及びます。最大落差は約85メートルですが、流れ落ちる水の量は世界最大と言われています。

それぞれの滝は、季節や時期によって流れを変えます。ブラジル側の展望台から見ると、滝のカーテンのようです。

──300近いとは、すごい数の滝ですね。

柳沢:はい。ブラジル側に展望台があって、さまざまな滝が流れ落ちる雄大な景観を見渡すことができるのですが、まるで滝のカーテンという感じで壮観です。その数や流れは、時期によって変化しています。最も大きなものは「悪魔ののど笛」と呼ばれる滝です。

──「悪魔ののど笛」とは恐ろしい名前ですが、どうしてそのような名前で呼ばれるのでしょうか?

柳沢:イグアスの滝の最も奥にあるのですが、落ちてくる水の量がものすごく、その轟音から名付けられたという話があります。実際に近くまで行ってレポートしようとしたのですが、大量の水が落下するときに発生する風と水しぶきで、台風中継のようになってしまいました。滝の音がすごいので、レポートする声も届かないほどです。

一番奥にある“悪魔ののど笛”。凄まじい量の水が流れ落ち、轟音が響き渡ります。アルゼンチン側の遊歩道を通れば、間近で見ることができます。

──一般の観光客も、近くまで行って滝を見ることはできるのですか?

柳沢:「悪魔ののど笛」には、アルゼンチン側にある遊歩道を通って、滝のすぐ上にある展望台に歩いて行くことができます。すぐ上からの光景も、もちろん大迫力です。別の滝ですが、滝の下からボートで近付けるツアーもあって、激しい水しぶきで乗っている人は全員びしょびしょになっていました。

滝の周囲には雨林が広がっていて、珍しい動植物の宝庫です。さまざまな種類の鳥が棲んでいるのも、この地域の特徴です。

──轟音の中、世界最大の水量が流れ落ちる滝の迫力ある映像が観られそうですね。

柳沢:はい、ぜひ期待してください。このような大迫力の滝ですが、激しい景色だけではありません。イグアスの滝には、満月の前後に数日だけ見られる、美しいシーンがあります。滝では、流れ落ちる水が上げる大量の水煙が高く舞い上がっていて、太陽の光を浴びると虹が現れます。それは太陽の光だけではなくて、月の光を浴びて現れることがあるのです。実際に満月の夜、この“ルナレインボー”の撮影にも挑戦しました。その幻想的なシーンを、番組でお届けします。

外敵が近寄りにくい滝の裏側をねぐらにするオオムジアマツバメ。日が落ちると滝の中に飛び込んでいきます。

──夜に現れる虹はどんな姿なのか楽しみです。滝の周辺はどのような環境なのでしょうか?

柳沢:滝から舞い上がる豊富な水分のおかげで、周辺には青々とした雨林が広がっています。そこは珍しい動植物の宝庫でもあります。ここに生息するジャガーなどの希少な動物の撮影を試みるはずだったのですが、撮影を予定していたアルゼンチン側のツアールートに実際にジャガーが出現する騒ぎがあり、公園自体が入場禁止になってしまいました。また、珍しい鳥も数多く生息しています。黒い雲のような大群で飛び回る、オオムジアマツバメは、日が落ちると、次々に滝壺に飛び込んでいきます。実はこの鳥は、安全な滝の裏側をねぐらにしているのです。ハイスピードカメラを使って、滝に飛び込む瞬間を捉えました。どうやって滝に飛び込んでいるのか、そのワザを番組でご覧ください。

滝壺からわき上がる水しぶきに太陽の光が当たり、虹が現れます。満月の夜には、月の光で出現する虹が見られることもあります。