特集

2016年9月25日放送「嚴島神社」

850年!海に浮かぶ美しい神社

海底に出現する謎の参道の正体は?

神の島と崇められてきた宮島では、さまざまな神事が行われます。最も大きな管絃祭では、お祭りの船が鳥居をくぐって社殿に向かいます。そのお祭りの直前、海底には謎の道が現れます。それは地元の人たちが手作業で創り上げた、海の参道でした。

──嚴島神社の他の見どころを教えてください。

久留島:宮島は神の島と言われ、現在でも神事などが数多くあります。主な神事と祭事だけで、年間65日も行われているのです。取材した7月には、嚴島神社最大のお祭りである「管絃祭」が行われます。

──どのようなお祭りなのですが?

久留島:元々は、京で行われていた管絃の遊びを、平清盛が神事として嚴島神社で行うようになったのが始まりと言われています。美しく飾り立てた船で、島の神社を巡るのですが、嚴島神社へは船で大鳥居をくぐって参拝します。しかし、船で参道を通ろうとすると、堆積した砂で船底を擦ってしまう可能性があります。そこで、船が通るところには海底に溝が掘られ、スムーズに通過できるようにするのです。

神の島である宮島で行われるさまざまな神事のうち、最大の「管絃祭」。美しく飾られた船が鳥居をくぐって社殿に入っていきます。

──船が通る参道というわけですね。かなり大掛かりなものになると思いますが、どのようにして造られたのですか?

久留島:実は干潮の時に、地域の人たちが集まり、船が通るところに手作業で溝を掘るのです。みなさんボランティアで参加しています。そこには地域の人々の深い信仰があり、長年行われてきた神事を大切に守っていこうとする思いが伝わってきました。

管絃祭で船の通路となる場所には、海底参道が現れます。それは地域の人が手作業で造った堀でした。祭りの前、干潮になると人々が集まってきます。

──神の島に伝わる信仰の深さが伝わりますね。ところで世界遺産には、神社の背後にそびえる弥山も含まれていますね。

久留島:弥山は宮島の中心にある標高535mの山です。山麓には貴重な原始林が残されていて、それも世界遺産の登録区域に指定されています。神様の住む島ということで、神社が守ってきた山林であることが登録の理由です。

嚴島神社の背後にある弥山。山麓には人の手が加えられていない貴重な原始林が残されています。

──弥山はどういう場所になっているのですか?

久留島:神社と共に人気の観光地になっています。今ではパワースポットとしても注目されていて、若い人にも人気の場所になっています。また、登山道を登る外国からの観光客もたくさんいました。ここは弘法大師が開いた山で、霊火堂という建物の中では弘法大師が灯したと言われる火が1200年経った今も「消えずの火」として燃え続けています。

弥山の山頂にある霊火堂で、今も燃えている「消えずの火」は、弘法大師が灯した火が1200年の間燃え続けているのだと言われています。

──今回の取材で苦労したことはありましたか?

久留島:ひとつは潮の満ち引きですね。干満差は4mほどあって6時間ごとに潮が満ち引きを繰り返すので、社殿が海に浮かんだように見えるタイミングは限られています。観光にいらっしゃる方は、満潮のタイミングを調べてから訪れることをお勧めします。また、ドローンによる空撮も行ったのですが、鳥居より内側は御神域のため入れません。誤って侵入しないようにオペレーションには苦労しました。でも、その甲斐あって空から見る美しい嚴島神社の姿も撮影できました。ぜひ番組でご覧ください。

ドローンでの空撮も行いました。空から見た嚴島神社の美しい映像も楽しみにしてください。