特集
2016年6月26日放送「カナイマ国立公園」
4K特別編 地球最後の秘境! 世界一の滝へ
世界最高!落差979mの滝の上に立つ!
南米の北部、6つの国にまたがるギアナ高地。“地球最後の秘境”と呼ばれ、人跡未踏のテーブル状の山が100個ほど点在しています。その中心部にあるのがベネズエラの「カナイマ国立公園」です。ハイライトは、高さ979mの高さから流れ落ちる世界一の滝「エンジェルフォール」。18億年前の地層が造り上げた地球の芸術の秘密に、田口ディレクターが迫ります。

日本初!世界一の滝の真上にカメラが到達
カナイマ国立公園の巨大なテーブルマウンテン、アウヤンテプイ。その断崖から流れ落ちるエンジェルフォールは、落差世界一の滝です。雲の上から落ちてくるような滝の流れはかつて原住民に畏れられ、長く「悪魔の滝」と呼ばれていました。今回、日本の撮影隊としては初めて、エンジェルフォールの真上に到達しました。

──今回の番組では世界一の滝が登場しますね。まずはその滝が流れ落ちている世界遺産、カナイマ国立公園について教えてください。
田口ティレクター(以下、田口):場所は、南米北部の6カ国にまたがるギアナ高地の中心部で、ベネズエラの南東部に当たります。裾野は垂直な断崖絶壁、頂上は平らになっているテーブルマウンテンが100個ほどあり、特徴的な風景を作り出しています。テーブルマウンテンのうちの多くは、いまだ人が入ったことがない未踏の地で、カナイマ国立公園は「地球最後の秘境」とも呼ばれています。
カナイマ国立公園には、台形型のテーブルマウンテンが100個ほども林立しています。

──まさに秘境と呼ぶにふさわしい場所です。そのテーブルマウンテンのひとつから流れ落ちるのが世界一の滝というわけですね。
田口:はい。標高2560mのアウヤンテプイという山から流れ落ちる「エンジェルフォール」は、979mという落差世界一の滝です。スカイツリーと東京タワーを縦に並べても届かない高さから大量の水が流れ落ちる様子は、想像していた以上のスケールの大きさでした。まずは、山の下から滝の水が落ちる場所を目指しました。
エンジェルフォールに近づくには、ボートで4時間かけて川を上り、さらにジャングルの中を抜けていきます。

──滝の下はどのようになっているのですか?
田口:ちょうど雨季の始まりで水量が多く、滝の周辺は落ちる水で発生する強い風が吹き付けていました。実はこの滝には、滝壺がありません。あまりに高い位置から落ちてくるので、水が下に着く前に霧散してしまうのです。滝の周囲は水滴が舞っていて、近づくと、まるでシャワーを浴びているような状態でした。

エンジェルフォールの滝の水は、あまりの落差のため下に落ちる途中で霧散してしまいます。

──こうなると、この巨大な滝がどのように流れ出しているのか気になりますね。
田口:そうですね。そこで私たちはヘリコプターでアウヤンテプイの頂上に登り、滝の流れ出す場所に向かいました。最近になって、エンジェルフォールの真上にたどり着けるルートが開拓されたのです。私たちが日本のカメラクルーとして初めて、エンジェルフォールの真上に到達しました。
アウヤンテプイの頂上は低木や草が多い草原。土はほとんどが雨などで流されてしまい、足下は岩場でした。

──アウヤンテプイの頂上はどんな場所なのですか?
田口:アウヤンテプイは本当に巨大で、崖に囲まれた頂上は、何と東京23区と同じくらいの広さがあります。テーブル状の山の頂上は、巨大な岩盤の上に草原が広がっていました。ただし、雨風や紫外線が強い過酷な環境のため、しっかりとした土壌がなく、ところどころ岩盤がむき出しになっています。そこを1時間ほど進むと、滝の真上にたどり着きました。
ついにたどり着いた、エンジェルフォールの真上。日本の撮影隊がここに到達したのは初めてのことです。

──エンジェルフォールの真上に立った感想はどうでしたか?
田口:まず、その高さと周囲の絶景に驚かされました。そして、私も這いつくばって滝の真上に行ってみましたが、えぐれるように切り立った崖から大量の水が噴き出す様子は荒々しい光景でしたね。カメラマンには命綱を付けてもらい、エンジェルフォールを真上から撮影することに成功しました。雨季でしたが奇跡的に天候が回復し、すばらしい映像を収めることができました。また、4Kカメラをヘリの先端に装着して撮影した迫力のあるアングルや、ドローンを使った空撮映像も圧巻の仕上がりです。ぜひ番組でご覧ください。

ヘリにカメラを装着して、エンジェルフォールの撮影に挑みました。ドローンによる空撮カットも必見です。
