特集

2016年5月8日放送 レンネル島 東部

Rennel

太平洋の秘境! 水中洞窟のナゾ

南太平洋に浮かぶ、ソロモン諸島。そこに知られざる秘境、レンネル島があります。レンネル島は、いまだに調査が進んでおらず、多くのナゾが残されたままの場所。南米の氷河地帯やアジアの大湿地など、数々の秘境を取材してきた江夏ディレクターが、この島のナゾに挑みました。世界で初めてカメラが潜入する水中洞窟の秘密とは?

世界初!ナゾの水中洞窟に潜入

レンネル島は不思議な形をしています。細長い島の東側は、島をくり抜いたようにほとんどが湖になっているのです。この巨大なテナガ湖は、淡水と海水が混じった汽水湖。これまで研究者によって調査されたことがほとんどありません。なぜ汽水なのか、どんな生物が暮らしているのか、番組で探ります。湖にある水中洞窟に世界で初めてテレビカメラが潜入しました。

──今回は番組でも初登場となる世界遺産、ソロモン諸島のレンネル島です。まずはどのような場所なのか、教えてください。

江夏ディレクター(以下、江夏):レンネル島は、南太平洋の島嶼部の国、ソロモン諸島の南端にあります。東西に伸びた細長い島で、東側はほとんどが湖になっています。この島、実はサンゴ礁できているのです。

レンネル島は美しいサンゴ礁に囲まれています。島自体がサンゴ礁でできています。

──かなり大きな島のようですが、これがすべてサンゴ礁だったのですね。どうやって今のような島になったのでしょうか?

江夏:ここは元々は火山島があって、その周囲をサンゴ礁が取り囲んでいました。しかし、地殻変動で火山島が沈み、サンゴ礁は環礁となって残されました。さらにその後、地面が隆起してサンゴ礁自体が浮き上がり、島になったのです。そのため、島はサンゴが堆積してできた石灰岩でできています。また、地面が隆起したときに、環礁に囲まれた海が巨大な湖になりました。それが島の東側に広がるテガノ湖です。

島は大部分がジャングルです。森の中で出会ったレンネルマングローブオオトカゲ。レンネル島の固有種です。

──テガノ湖はどんな特徴がある湖ですか? 

江夏:テガノ湖は、太平洋の島嶼部で最大の湖です。湖面には200以上の島が点在しています。その島も、やはりサンゴ礁の名残で、石灰岩でできています。また、湖水が淡水ではなく、海水が混じった汽水湖であることも特徴のひとつです。現地では、クロッカーウミヘビなど、固有の生物との出会いもありました。このウミヘビは元々外洋に生息していたものですが、地面が隆起したときに湖に閉じ込められ、そのまま汽水に適応したものと考えられています。

東西に細長く伸びたレンネル島。島は、東側が細い陸地に囲まれたテガノ湖でほとんど占められるという面白い形をしています。

テガノ湖には、大小200を越える島が浮かびます。サンゴ礁の石灰岩でできた島は、それぞれ所有者が決まっているそうです。

テガノ湖は海水が混ざった汽水湖。江夏ディレクターが湖水の味を確かめました「しょっぱい」

──湖の水が塩分を含んでいるということは、どこかで海につながっているのでしょうか?

江夏:海につながっている可能性は高いのですが、実ははっきりわかっていません。レンネル島は、研究をしている専門家もほとんどいない秘境なので、調査も進んでいないのです。そこでわれわれは、湖を探検してみることにしました。

湖に面した鍾乳洞。この先がどこにつながっているのか、調査してみることにしました。

──テガノ湖のナゾに迫るわけですね。どんな探検になったのでしょう?

江夏:湖に面した水中鍾乳洞があるのですが、レンネル島にはダイビングの道具がないため、現地の人でさえ洞窟の奥まで行ったことがないそうです。もしかすると、この水中洞窟こそが海につながっているのかもしれないと思い、どこまで続いているのか調べてみることにしました。洞窟の中では1mを超える巨大ウナギを見つけました。ウナギの稚魚は海から湖に入ってきます。つまりこのウナギは、湖がどこかで海とつながっている証なのです。果たして洞窟がどこまで続いているのか、この世界で初めてのチャレンジの結果がどうなったのか、お楽しみに。

テガノ湖の水中洞窟に、世界で初めてテレビカメラが入りました。ダイバーが奥へと進んでいきます。