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2016年3月20日放送 「世界初!ナゾの地下空間に潜入」 マチュピチュ歴史保護区(ペルー)

2016年3月20日放送 「世界初!ナゾの地下空間に潜入」 マチュピチュ歴史保護区(ペルー)

世界初!2つの快挙 天空都市をドローンで空撮&謎の地下空間に潜入

今回の番組では、マチュピチュで実現した「世界初」となる2つの映像をお届けします。まず、最近になって発見された謎の地下空間に、初めてテレビカメラが入りました。さらに世界で初めて、天空都市マチュピチュをドローンで空撮することに成功しました。しかし、撮影許可が下りるまでの道のりは大変なもので、足かけ1年にも及びました。

──今回の番組の見どころを教えてください。

田口ディレクター(以下、田口):番組では2つの「世界初」の映像をお届けします。1つ目は、最近発見されたばかりの謎の地下空間の映像。そして2つ目は、世界で初めて許可されたドローンによるマチュピチュの空撮映像です。

研究用に開けられていた謎の地下神殿への入口。狭い穴からロープを使って下りていきます。

──それは楽しみです。まずは地下神殿について聞かせてください。

田口:マチュピチュ遺跡の中にある、聖なるものとして崇められていた巨石の下に、謎の地下空間が見つかりました。後の時代に作られた階段によって入口がふさがれ、隠れてしまっていたのです。研究のために別の入口が作られたのですが、遺跡を保護するため普段は蓋をされて完全に閉じられています。今回は特別に蓋を外してもらい、カメラと共に地下空間に降り立ちました。

テレビカメラが初めて入った地下神殿の通路。巨大な2つの岩のすき間を通り抜けます。

──その空間は、どのような場所だったのでしょうか?

田口:岩と岩の隙間が狭い通路のようになっていて、奥に向かって続いていました。インカ帝国には洞窟や大きな岩の下に聖なる空間を設ける文化があり、儀礼を行うための場所だったのではないかと言われています。インカ帝国が滅びて500年近く、その間に積もった土砂で足下もおぼつかない状態でしたが、地下空間の全貌をカメラでとらえました。番組で紹介します。

長期間の交渉を経て、世界で初めてマチュピチュでドローンの空撮が行われました。飛ばすのはドローン撮影のプロ、矢口カメラマン。

──謎の地下空間、気になります。次にドローンによる空撮映像ですね。

田口:はい。マチュピチュ遺跡は尾根の上にあるため、全体を見渡せる場所は限られています。そこで、ドローンを使って別のアングルからも見てみたいと思いました。実はマチュピチュの空撮は、ここ10年近く実施されていません。遺跡保護などの理由で、撮影許可が下りなかったのです。2015年の1年間だけで40件もの撮影申請を断っていたとのことでした。その中には、世界の名だたるテレビ局や映像製作会社が含まれています。ドローンを使って撮影するのは、私たちが世界初になります。

普段とは違った角度でとらえられたマチュピチュの聖なる石。ぜひ番組内で映像をご覧ください。

──この番組でドローンでの撮影が許可されたのはなぜですか?

田口:2015年の5月頃から交渉を始め、9月に取材でマチュピチュを訪れた際にはドローンによる空撮のプレゼンを行いました。撮影が可能なクスコのサクサイワマン遺跡に案内してもらい、どのように撮影して、どんな映像が撮れるのかを関係者に見てもらったのです。反応は上々でした。安全に空撮できる点と、これまでに見たことがないアングルから遺跡を撮影できるというところが評価されたようです。

マチュピチュの脇を流れるウルバンバ川上流には、500年前と変わらないマラス塩田があります。地下から湧き出す塩水で、インカの時代から塩を精製してきました。

──ほぼ1年にわたっての長い交渉の末に実現した天空都市の空撮ですが、実際にトライしてみての成果はいかがでしたか?

田口:撮影は大成功でした。これまでとは違ったアングルで見られるだけでなく、ヘリコプターでの空撮よりも遺跡に近づけるのでディテールや立体感が際立ち、世界が驚くような映像になったと思います。現地の研究者たちも興味津々で、今後の研究にもドローンを採り入れたいと撮影に付きっきりでした。

マチュピチュはインカ道で他の都市とつながっていました。そんな都市遺跡の一つ、サラプンクで発見されたミイラ。その筋肉や骨から重労働に従事していたと考えられています。

──最後に、番組を楽しみにしている視聴者にメッセージをお願いします。

田口:今回の取材では、より高精細な映像が撮影できる最新の4Kカメラを使って行っています。石の質感までとらえた美しい映像と、ドローンで空撮したマチュピチュの、これまで見たことのないアングルを楽しみにしていてください。