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2016年3月20日放送 「世界初!ナゾの地下空間に潜入」 マチュピチュ歴史保護区(ペルー)

Machu Picchu

世界初!ドローンがとらえた謎の天空都市

南米ペルーの世界遺産、マチュピチュ歴史保護区。天空都市として日本でも有名な場所ですが、いまだに多くの謎に包まれています。そのマチュピチュにおいて、長い交渉の末、世界初のドローンによる空撮に成功しました。さらに近年発見された、巨石の下に広がっていた不思議な空間。それがいったい何であるのか?田口ディレクターが日本のテレビで初潜入しました。

巨大な岩を崇めて不思議な神殿を造るインカ帝国の聖なる都市

マチュピチュ遺跡は標高約2400mの険しい尾根の上にあります。なぜここに都市が造られたのか、まだハッキリとわかっていません。むき出しになった巨大な岩、それに人工の石積みを重ねた不思議な神殿が、いくつも造られていました。それらは、ここがインカ帝国の聖なる場所であった可能性を示しています。

──今回は日本でも有名な遺跡、マチュピチュです。記念すべき第1回の放送で紹介した場所でもありますね。

田口ディレクター(以下、田口):そうなんです。2016年4月で番組はちょうど20周年を迎えるのですが、節目となる20年目最後の放送で、再び紹介することになりました。

緻密な都市計画に基づいて造られたマチュピチュの都市。背後にそびえるのがワイナピチュ山です。

──ここがどういった場所なのか、あらためて教えてください。

田口:南米ペルーの「マチュピチュ歴史保護区」は、都市遺跡としての文化的価値と、周辺に広がる雲霧林などの自然の価値を併せ持つ複合遺産として、世界遺産に登録されています。中心となるマチュピチュ遺跡はワイナピチュ山とマチュピチュ山という2つの山の間の尾根の上、標高約2400mの場所に建設されたインカ帝国の都市です。まるで空に浮かんでいるような遺跡は「天空都市」とも呼ばれています。

マチュピチュには精巧な石積みの建物が並んでいます。右下に見えるのは太陽神殿で、インカの高官が住む地域に建設されていました。

──マチュピチュには精巧な石組みの建物が建ち並んでいますが、街の中はどのような作りになっているのですか?

田口:緻密な都市計画を元に建設された印象を受けました。例えば、遺跡から800mほど離れた森の中のわき水を街中まで水路で引き、居住地域には生活のための水場が16カ所も設けられていました。水は西から東に流れていて、西側には皇帝や神官などの高い身分の人が住んでおり、東側に住む位の低い人たちよりもきれいな水が使えるという仕組みです。また、日当たりのいい東側の斜面は石垣で区分けされた段々畑になっており、数百人分の食料をまかなうと同時に土砂崩れ対策にもなっています。

取材したのは雨季。マチュピチュは雨の多い土地です。天空都市に虹が架かりました。

──緻密に考えられた都市計画があったのですね。他に特徴的な建物はありますか?

田口:巨石を使った神殿ですね。インカでは巨大な岩を神聖なものと考えていました。マチュピチュはインカ帝国が残した遺跡の中でも、特に神聖な場所だったようです。遺跡の内外で、自然の巨石に精巧な石積みを組み合わせた不思議な神殿が発見されています。

左側に階段のように見えるのが段々畑の一部です。数百人分の食料をまかなえたと言います。

──特に印象に残った神殿はありますか?

田口:個人的に印象に残ったのは、ワイナピチュ山を越えた裏側にある月の神殿ですね。せり出した天然の巨石の下の空間を利用し祭壇が作られていました。祭壇には台形状の穴がいくつも開けられており、そこで儀式を行うときには、ミイラが飾られたと言われています。とても荘厳な空気を感じる空間で、マチュピチュを訪れたならぜひ脚を伸ばしてもらいたい場所です。マチュピチュ周辺には、このような神殿がまだまだ存在しているようです。インカ帝国の中でもそれだけ重要な都市だったのではないかと、さらに調査が進められている最中です。

ワイナピチュ山を越えたところにある月の神殿。巨大な岩の下にはミイラを飾ったと思われる祭壇が設けられています。