特集

2015年5月10日放送 「村をのみこむ溶岩の島」 ハワイ火山国立公園

知られざるハワイ島の旅

ハワイのリゾートといえば、人気はワイキキビーチやダイヤモンドヘッドのあるオアフ島。しかしハワイをよく知っている人たちの間では、本当のハワイを堪能できるハワイ島が人気だ。猛々しい火山活動の一方で、知られざる観光ポイントや豊かな自然に溢れるハワイ島は、リピーターが集まる魅力的な旅のスポットになっている。

─火山の島であることの厳しい側面を紹介していただきましたが、観光地としてのハワイ島の魅力もうかがいたいと思います。

奥村:まずは火山を体感できることですね。火口周辺に降りられるイキ火口のトレッキングや、溶岩トンネルを体験できるツアーなどもあります。今回、「ベストショット」のコーナーで紹介しているハレマウマウ火口はオススメのポイントです。天気が悪くて雲が立ちこめていると、日没直後に美しい光景を見ることができるのです。その珍しい映像を番組で紹介しているので、ぜひご覧ください。

火口にまで降りることができるイキ火口。周辺にはすでに植物が育っていました。ハワイの固有種、オヘロベリーを食べてみた奥村ディレクターの感想は「ちょっと酸っぱい!」

─自然が豊かなハワイ島ですが、動物たちとの出会いはありましたか?

奥村:はい。ハワイは、これまでどこの大陸にも属したことがない土地です。そのため固有種の生き物の宝庫になっています。例えば、ハワイミツスイ(ハニースイーパー)と呼ばれる花の蜜を吸う鳥が住んでいるのですが、ハワイの中で進化してさまざまな種類に分かれたので、そのすべてが固有種です。固有種の数と言えばガラパゴス島のフィンチという鳥がダーウィンの「進化論」で有名ですが、ハワイミツスイのほうが種類が多いと言われています。また、ハワイ島は、隠れたホエールウォッチングのポイントでもあります。

ハワイ島には、さまざまな柄のハニースイーパーと呼ばれる鳥が住んでいます。ハワイで進化して種類が増えていったもので、すべてハワイの固有種なのです。

─ハワイのホエールウォッチングとえいばオアフ島が有名ですが、ハワイ島でもクジラに出会えるのですね。。

奥村:ハワイ島沖は、クジラが最も近くまで来てくれるホエールウォッチングのポイントのひとつなのです。5月でシーズンは終了してしまいますが、冬はたくさんのクジラに出会うことができます。まさに船の間近まで寄ってきてくれた様子を、番組でも紹介しています。私もここまで近い距離でクジラを見たのは初めてです。

ハワイ島沖は隠れたホエールウォッチングのポイント。近くでクジラを見ることができます。実際にすぐ近くにまで寄ってきたクジラたちが、番組に登場します。

─旅行の楽しみと言えば料理ですが、オススメの場所はありますか?

奥村:ハワイでナンバーワンになったことがあるというステーキを出してくれるレストランが、実はハワイ島にあります。塩とハーブだけで味付けした赤身のステーキは、本当においしいですよ。この肉は、ハワイで生まれてハワイで育ったロコビーフです。火山が生んだミネラルたっぷりの土地で育った草。広い牧草地でその草を食べた牛の肉を味えるので、まさにハワイ島を味わっている気分になれますね。

レストラン「マリマンズ」で饗されるハワイでナンバーワンになったステーキ。溶岩が作り出したミネラルたっぷりの土地で、のびのびと育った牛の肉なのです。

─最後にハワイ島の魅力をあらためて教えてください。

奥村:一周が500キロ程度とサイズとしても手頃なので、島を一周回るツアーでも朝に出発すれば夕方には戻ってこられます。大自然を堪能しながら、火山を間近に感じることができるのが魅力です。本当のハワイ好きはハワイ島に行くという話がありますが、真実だと思いますね。私は取材などで世界中に出向きますが、唯一プライベートで遊びに行く場所がハワイ島なんですから。番組で、その魅力をお伝えできればと思います。

世界遺産の奇妙な生き物

光のない場所で生きる白いコオロギ

流れ出した溶岩の表面が冷えて固まった後も、中の溶岩は流れています。その溶岩が流れ切った後にできる空洞が溶岩洞窟です。まったく光が差さない漆黒の闇の中、そこで生活する昆虫に出会いました。光のない場所で生活しているため目は退化し、体も真っ白なウミコオロギの一種。とても珍しい生き物です。