特集

船でゆったりと楽しむ美しき流れ

─運河の脇の自転車道は新しく造られたものなのでしょうか?


ミディ運河

石渡:両岸の堤防の小道は運河が建造された際に整備されたもので、現在は自転車道になっています。これはもともと、まだ蒸気機関などの動力がなかった時代に、馬や人が船を引いて動かすための道でした。運河は流れがほとんどないので、そのような仕組みが必要だったのです。船のほか、小道を通る人や馬の日よけなどの目的で、道沿いには木が植えられていました。現在も運河沿いは大部分が並木道で、45000本の樹木が美しい景観を生み出しています。


―美しい風景を楽しみながら、ゆったりとした船旅が楽しめそうな運河ですね。今回の取材も、やはり船で移動しながら行ったのですか?


石渡:そうです。ただ、船の取材は時間調整で大変苦労しました。何せ時速8kmでゆっくり進む船ですから、一度乗ってしまうと数時間は降りられません。また、たくさんあるロックの通過にも時間がかかります。ロックにはそれぞれ管理する人がいて水門の操作をしてくれるのですが、繁忙期の前に取材したこともあって、管理人が昼寝していて門が開かない、なんてトラブルもありました(笑)。スケジュールが組みにくい取材でしたが、そのぶん、現地の緩やかな雰囲気が撮影できたのではないかと思います。



ミディ運河

─最後に、今回の番組の見どころをお願いします。


石渡:ミディ運河はヨーロッパらしい、美しい風景を楽しめる場所です。今回は、旅情あふれるミディ運河の風景をたくさん盛り込んで、その魅力をお伝えします。せっかくの夏休みの時期ですから、フランスのバケーションのゆったりとした雰囲気を楽しんでいただければと思います。

世界遺産の歩き方

ミディ運河を堪能するには、長期で借りられるボートをレンタルして移動するのがオススメだ。自転車を載せて移動し、停泊できる場所に船を係留して周辺をサイクリングする、といった楽しみ方もできる。大きめの港には日用品を販売する船が停泊していて、生活に必要なものはだいたい手に入る。ただし、移動には時間がかかるので、スケジュールには余裕を持っておきたい。