特集

小澤ディレクターインタビュー

―苦労の末にたどり着いたロス・ピンチュードスは、どのような遺跡なんでしょうか?

リオアビセオ国立公園

小澤:標高2800メートルほどのところにある絶壁を削った場所に建てられた建造物で、中にミイラが収められていたお墓です。9世紀から15世紀くらいの「チャチャポヤ文化」の遺跡で、インカ帝国に滅ぼされたようですが、まだ詳しいことが分かっていません。独特の文様が掘られた建造物で、継ぎ目なく鎖状に彫られた木にぶら下がる木像が目を引きます。「ピンチュード」とは男性器の意味で、木像も男性器を誇張したものになっています。

―チャチャポヤ文化の遺跡は他にもあるのですが?

小澤:今回の取材では、グラン・パハテン遺跡も訪れました。石造りの建造物群で、ペルーの紙幣にも登場しています。こちらも2800メートル以上の高所にあるのですが、こんな僻地に住んでいた理由などはまだ不明です。壁の文様や人物をかたどった建物の壁などが見どころだったのですが、遺跡の保存を優先するためコケに覆われたままの状態でした。とはいえ、簡単には行けない場所にあるものなので、そんな状況を含めて映像で紹介できる貴重な機会になったと思います。

―では、その貴重な映像を楽しみにしている視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

小澤:絶滅したと思われた動物が見つかったり、いまだに多くの謎を秘めた遺跡が多数残されていたりと、リオアビセオ国立公園の自然と遺跡の研究はまだまだこれからです。取材ではたいへんな思いをしましたが、苦労の甲斐あって希少なサルの姿や遺跡の数々をカメラに収めることができました。放送でぜひ、その映像をご覧ください。

世界遺産の歩き方

一般の観光客はリオアビセオ国立公園には行くことができないが、ペルーには他に有名な世界遺産が多くある。マチュピチュやクスコ、ナスカの地上絵などは、日本からのツアーも組まれている。なお、マチュピチュとクスコは乾期に当たる5月から10月、ナスカの地上絵は天候が安定する10月から4月が、それぞれベストシーズンと言われている。せっかく訪れるなら時期を選びたい。