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最南端の世界遺産 マッコーリー島

絶海の孤島でたくましく生きるペンギン達

5月19日の放送では、オーストラリアの自然遺産「マッコーリー島」をお届けします。世界遺産の中でも最南端に位置するこの島は、荒ぶる波と厳しい寒波にさらされる絶海の孤島です。今回は島での取材の様子を担当の小澤ディレクターにお聞きしました。

最南端の世界遺産 マッコーリー島

小澤ディレクター(以下、小澤):マッコーリー島は、オーストラリアの南緯54度に位置する自然遺産です。海底下から突き出たマントルが海上に表れている地球上で唯一の場所で、人の手がほとんど加えられていないその豊かな自然は、現在も多くの研究者による観測や調査が進められています。

―南緯54度というとかなり南ですが、今回、マッコーリー島へはどうやって行かれたのでしょうか。

最南端の世界遺産 マッコーリー島

小澤:砕氷船で3日間かけて行きました。今回の取材時に海氷はなかったのですが、もともと砕氷船は船体を大きく揺らして氷を砕きながら航海をする作りになっているので、とにかく揺れが強かったです。そのため、船内の椅子や家具は動かないように床に固定されていました。

―家具を固定するほどとなると、かなり大きな揺れですよね。

小澤:そうですね。航海中の3日間は、ずっと揺れっぱなしでした。南極付近の海域は、南緯に応じて「吠える40度」、「狂う50度」、「絶叫する60度」という呼び名がつけられているほど強い波が特徴なんです。

―島にたどり着くまでの道のりはかなり険しいですね。

小澤:はい。船旅だけではなく、出航までの手続きも厳しかったですね。出航の数ヶ月前から入念な準備が義務づけられており、何項目もの健康診断と安全行動のレクチャーを受けました。島には自分の服の持ち込みが制限されており、現地で支給される服を着ることになるので、その試着なども事前に行ないました。

―島に自分の服の持ち込みが制限されているのはなぜなのでしょうか。

最南端の世界遺産 マッコーリー島

小澤:外来種の侵入を防ぐため、環境保護の規定により義務づけられているのです。船に乗り込む前には持ち物検査もあり、バックの中や靴の裏まで細かくチェックされました。靴の裏に付いているたった1粒の種子までピンセットで取り除く徹底ぶりです。