特集

ゾウが作った森にゴリラが暮らす!サンガ川流域の森林地帯

危険がいっぱいの森を歩き続けてたどり着いた、動物たちの聖域

―実際に取材中、ゾウは頻繁に見かけられましたか?

危険がいっぱいの森を歩き続けてたどり着いた、動物たちの聖域

小澤:はい、撮影をした3か所のバイすべてにずっとゾウがいました。バイにいるのは「マルミミゾウ」という種類のゾウで、平原に暮らすアフリカゾウに比べるとひと回り小さく、森の中で暮らしています。バイにいるときは目にすることができるマルミミゾウですが、森の中にいると姿を見ることは難しく、出会うこともなかなかありません。しかし今回は、森の中でマルミミゾウを撮影することができました。森の中にいる姿は貴重だと現地の人も言っていたので、ぜひ放送で見ていただきたいですね。

―バイにはゾウ以外の動物も集まるのですか?

危険がいっぱいの森を歩き続けてたどり着いた、動物たちの聖域

小澤:バイにはバッファローや、「シタトゥンガ」というシカに似た動物もやってきます。あとはゴリラです。私は、2012年にコンゴ民主共和国の「カフジ・ビエガ国立公園」でヒガシゴリラを取材しましたが、今回のゴリラはそれとは異なるニシゴリラという種類のものです。ニシゴリラは通常森に生える草を食べていますがバイに来て水草の根の部分を食べます。根には塩分が含まれているので、塩分が必要になったときだけバイに来るようです。

―ヒガシゴリラとニシゴリラ、両方を取材して何か気づいた違いなどはありましたか?

小澤:ヒガシゴリラは全身が真っ黒ですが、ニシゴリラは頭の毛が茶色いです。ニシゴリラはあまり研究が進んでおらず、生態の違いも分からないことが多いです。

―ゴリラやゾウが現れる森の奥へ入り込んでの撮影は過酷だったと思います。実際にはどのような経路で撮影を進めたのでしょうか?

危険がいっぱいの森を歩き続けてたどり着いた、動物たちの聖域

小澤:まず飛行機でコンゴ共和国に入り、首都から車で国立公園へ向けて移動しました。道が悪いため、600kmを車で3日間かけて走りました。その後、サンガ川をフェリーで渡ってから、水の中を歩いて進みました。山がなく森全体が平坦な地形なので、少しでも窪地があるとすぐに水が溜まってしまうのです。そのぬかるみで車が進めないので、とにかく徒歩で移動するしかありません。バイに来るゴリラの姿をカメラに収めようと、1日50km位歩いた日もありました。