特集

世界一スペシャル

大浦ディレクターインタビュー

Q:次に、2週目の文化遺産篇について聞かせてください。

世界一スペシャル

文化遺産編についても自然遺産と同様に、有名なものから、「知られざる"世界一"」なものまで幅広い視点で選んでいます。まずは誰もが知っているものとして、エジプトにある、高さ世界一のクフ王のピラミッドを紹介しています。これは太陽信仰があったエジプトで、クフ王が死後、自分が太陽の神となってよみがえることを願って造らせたものです。同じく有名なのが、完成当時は世界一の高さの銅像だった自由の女神像です。番組内では、女神像内部の珍しい映像が出てくるので必見です。ドイツにある、ケルン大聖堂は、"世界一のゴシック建築物"です。建設当時は建築物全体としても世界一でした。しかし、産業革命から急速に科学技術が進歩し、建造物の高層化大型化が進み、現代ではドバイのブルジュ・ハリファを代表するように800mを越える超高層タワーが圧倒的な高さを誇っています。かつて世界一であったものにあえて目を向けることによって、技術の進歩、歴史の移り変わりを実感していただけるような世界遺産が15カ所登場します。

Q:そのほかに、今回取り上げる"世界一"の中で、選考した大浦さんのお勧めを1つ教えてください。

世界一スペシャル

中国の楽山大仏が、私の一押しですね。この大仏は世界最大の断崖を彫って造られた磨崖仏で、水難が多い長江の3つの支流の合流地点に、安全を祈願して造られたものです。その全長は71mにおよび、番組内では人々が崖の上から大仏を観光している映像がありますが、人と大仏の大きさを比較すると、人間が蟻くらいの大きさに感じてしまうほどで、その巨大さに圧倒されます。

Q:最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。

今もなお、高度を増し続け、世界一を更新し続けるエベレスト。逆に、建設当時は世界一の高さを誇っていたが、現在は世界一ではなくなってしまった自由の女神など、自然、文化を問わず、"世界一"は変わり続けています。「永遠に世界一のものはないからこそ、今、世界一であることが魅力的」で美しいのだということを、番組をご覧になれば感じていただけるでしょう。世界遺産を、"世界一"というフィルターを通して見てみると、うつろう時の流れの壮大さ、人間の終わりのない探究心や夢、憧れを感じることができる、そんな番組になっています。

今回取り上げている世界遺産の1つ、ケルン大聖堂は、1248年に建造が開始されたが、途中、宗教改革などの影響で財政難に陥り工事が中断した。1842年に工事が再開され、完成したのは1880年、建て始めから630年もの歳月が経っていた。建築物の完成までの期間が長いものでは、90年の楽山大仏、20年以上のクフ王のピラミッドなどがあるが、圧倒的なのは、万里の長城。
複数の時代にまたがって1800年に渡って築かれた建築物とされている。
長さだけでなく、建造期間でも"世界一"と言えそうだ。