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泰山 天空へつづく石の道

石渡ディレクターインタビュー
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石渡ディレクターインタビュー

Q:そのほかに番組の見所を教えてください。

泰山 天空へつづく石の道

日観峰から望む御来光の映像は、思わず息をのむほどの美しさです。壮大な雲海の彼方から朝日が昇ってくる映像は神々しく、撮影していて鳥肌が立ちました。ぜひこの感動を味わってください。

Q:わざわざ人々が御来光を拝むために登るということですが、泰山の日の出の美しさには何か特別な理由があるのでしょうか?

泰山は海に近く、峰々が連なっている独特の地形で、湿った空気が峰と峰の間に流れ込むために、低山帯であるにもかかわらず、雲海が発生するのです。雲海の発生にはサイクルがあり、泰山のふもとで気温が30℃以上の炎天下の日が一週間ほど続くと、雲が発達し、やがて一気に大雨が降ります。その雨の勢いが強いほど、その後雲海が発生しやすくなるのです。いい条件がそろったときは、日観峰から御来光を眺める際に、雲海の向こうに東シナ海を望むことができるでしょう。

Q:最後に番組をご覧になる方へメッセージをお願いします。

泰山は文化遺産に認定されるための6つの項目をすべて満たしており、これは数多い文化遺産の中でも、敦煌の莫高窟とヴェネチアの潟、そして泰山の3カ所しかありません。それほど、重要で中国の長い歴史が凝縮されている山なのです。泰山に登る人々の姿や石刻、史跡の映像をご覧になって、中国の歴史の一端を感じていただけると嬉しいです。

世界遺産の歩き方

泰山のふもとの町、泰安市は泰山観光の拠点となる。ホテルは数も多く、快適で、銀行や病院も整えられており、地方都市といった印象。名物は、庶民的な味の泰安豆腐。泰山からの湧き水で作る硬めの豆腐だ。石渡ディレクターによると、「泰山に登る前に、中国三大宮殿建築の一つに数えられる岱廟を見るのがおすすめですよ」とのこと。岱廟は二千数百年の歴史があり、歴代皇帝が登山に先立って、詣でた場所。また、中国では南京錠を買い、寺院や廟のどこかに付けるという、日本の絵馬に似た習慣がある。泰山でも、文字を彫る職人に頼んで願いごとなどを刻んだ南京錠を、山頂の玉皇廟周辺に付ける人が後を絶たない。