特集

黄龍

世良ディレクターインタビュー

Q:黄龍の取材中に苦労したことは?

黄龍は標高が3100〜3600mぐらいのところにあります。いろいろな世界遺産を取材してきましたが、これほど標高の高い場所は、僕は初めてでした。
特に、最も美しいと言われる彩池群である「五彩池(ごさいち)」が一番高い場所にあり、富士山で言えば9合目を超える高さになるのですが、空気が薄くて移動するだけでもすぐ息切れしてしまいました。

Q:今回、彩池以外にはどういったところを取材したのでしょうか?

黄龍

今回の取材のもう1つのテーマは、黄龍での人々の信仰です。五彩池のほとりに建つ「黄龍古寺」という道教の寺院を取材しました。黄龍は、中国古代の皇帝が治水を行う際に協力した龍がこの地に住み着いたという伝説の地で、黄龍古寺はその龍の化身を祭った寺院です。
この建物のあらゆるところには、龍の装飾が施されています。また渓谷の中腹には「黄龍中寺」という寺があります。こちらは、チベットの信仰であるボン教の寺です。

Q:この地域はチベットの人が多いところなのでしょうか。

黄龍

そうですね。黄龍があるのはアバ・チベット族チャン族自治州で、四川省で2番目の規模のチベット居住地なのです。黄龍は、道教の聖地であるのと同時にチベットの聖地でもあります。
今回の取材では、200kmも離れた村から祈りを捧げに黄龍に来たチベットの人たちにたまたま出会うことができ、その祈りに同行させてもらいました。彼らは、村を代表としてチベットの伝統的な衣装を身に着けて年に一度のお祈りのために黄龍に訪れているのです。また黄龍中寺をお参りするだけでなく、黄龍のある場所で祈りを捧げるのです。彼らが彩池などの観光名所を見向きもせずに細い山道を進んでいくので、ついて行くと……。この村人たちの祈りのシーンはぜひ放送でご覧になっていただきいですね。