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晩秋にお送りする4タイトル

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これからの番組のみどころを担当ディレクターがご紹介します。
「黄山」と「ラパ・ヌイ国立公園」は現在取材中のため、ディレクターに代わって河野プロデューサーがご紹介します。

11月30日放送 黄山(中国)

黄山(中国)

愛場ディレクター代理:河野プロデューサー
皆さん水墨画はよくご存知かと思います。この「黄山」というサイトは、一言で言えばその水墨画によく描かれる代表的な風景が広がる場所です。古くは詩人・李白が度々この地を訪れ詩に表したことでも有名で、切り立つ岩山が多くあり、とりわけ雲のかかる風景は絶景と謳われています。どのくらいすばらしいかと言うと、中国では良い景観を漢字一文字で表す事があるのですが、例えば九寨溝は「一絶」。「絶」とは他に比べるものがないほど優れていると言う意味。さらに「一」が付いているので、とにかく凄いとしか言いようのない場所であることを表しています。それだけでも十分凄い場所なんだろうなという気がしますが、黄山にはこの「絶」が4つ付いています。これは雲海、奇松(岩山に生える独特な松。盆栽のように芸術的な姿形をしていて、水墨画にもよく登場します。)、奇岩、そして温泉。 4つも特筆すべきものがあるという場所、それが黄山です。
現地にいるディレクターに話を聞いたところ、やはり雲海を見るというのが今回の見所のひとつになりそうです。雲海のビューポイントというのがいくつかあるそうなのですが、「今回は最近開拓されたばかりのルートからの撮影に成功。最終日に素晴らしい雲海の映像を撮る事ができました」との報告を受けました。また、この黄山という場所は、先ほどもお話した水墨画が根付いた場所で、今でも多くの墨客たちが集う所です。そういう文化を育んだ土地であることから、自然遺産だけではなく文化も含めた複合遺産として登録されています。そこに絡めて、黄山の周辺にいる絵師、雲の描き方にこだわって水墨画を描き続けているという方にお話をお伺いしたようです。考えてみると、水墨画ですから基本的には墨汁で描くもの。果たして白い曇はどうやって書くのでしょうか?
その絵を見ることで、実際の雲海の景色もさらに豊かに見えてくるでしょうし、その表現方法や、なぜ雲にこだわり、雲を描くことで何を伝えようとしているのか?
どうやら、ある技を撮影させてもらえたようなのですが、どんなものなんでしょうか? 私も期待してスタッフの帰国を待っているところです。

12月7日放送 ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)/チリ

ラパ・ヌイ国立公園(イースター島)/チリ

石渡ディレクター代理:河野プロデューサー
ラパ・ヌイというと一般には聞きなじみ薄いでしょうか。南米チリ沖に浮かぶ、あの巨岩の顔の像=モアイ像で有名なイースター島のことですね。これもディレクターが現在取材中なので、代理でご紹介します。
ラパ・ヌイに住んでいた人々はどこから来たのか?
何の目的でモアイ像は作られたのか? これらに関して多くの研究者達が調査していますが、未だはっきりとした答えが見つかっていません。そのため「謎」というキーワードで語られる事が多いと思いますが、西洋人による発見以来、長年行われた調査で解明されたことがあります。それは「その昔、ラパ・ヌイは豊かな森に覆われていた」という事。現在のラパ・ヌイはほとんど木の生えていない状態。それならばなぜ島から木々が消えてしまったのでしょうか? どうやら人的な要因らしいんです。焼き畑のため木を切り尽くしてしまった…、モアイ像を遠くへ運ぶための運搬手段として切り出した、など説が唱えられていますが、記録が残っていないので、理由は断定できません。木がどんどん失われていけば、山肌の保水力がなくなり、地すべりがおき、肥沃な土地は痩せ、農業が出来なくなるという悪循環を生みます。おそらく似た様な事を当時の人々も経験したとすれば、それでも木を切り続けたのはなぜなのか?
最後にはなくなってしまうわけで、果たして最後の1本に直面した人はどんな気持ちだったんでしょうか? その一本をやっぱり切ってしまったのか?それとも残したのか?
ラパ・ヌイに住んでいた人々の気持ちを連想ゲームのように考えてみる。そうすることで、人間がどうしても持っている業(ごう)が垣間見えるのではないか?ひと味違ったイースター島やモアイ像が見られれば…という思いを胸に、鋭意取材中です。