特集

五大陸スペシャルI・II

インタビュー

Q:自然遺産の回について

五大陸スペシャルI・II

約2億年前、地球の大陸はほぼひとつで、そこから徐々に陸地が分かれたり、その陸地同士がぶつかり合ったりして今の地形ができあがりました。そうした大陸移動のお話などは、きっと皆さんTVで聞いたり、勉強したりで知っていると思います。当たり前ですが、まさにそんな生きている地球の営みこそが、かけがえのない自然遺産を生み出したんです。でも自然遺産を見るときに、そんな“地球規模のスケールでまとめて見る”機会って、あまり無いですよね。それをより身近にリアルに感じられるようにしたいと思って作ったのが1週目の自然遺産です。有名なネパールの「サガルマータ国立公園」(エベレスト)、アメリカの「グランドキャニオン国立公園」も、何で世界遺産になったのか?という事がよりビジュアル的な知識として飛び込んできて、きっと見終わった後には、ちょっと大げさかもしれませんが、“地球を好きになってもらえる”ような内容に仕上がればと思っています。

Q:文化遺産の回について

五大陸スペシャルI・II

「文化遺産を、地球を感じながらまとめて見る―」これはかなり難しいですよね。だって、600以上もある文化遺産それぞれは、当たり前ですが、全く別々の理由で登録されていますし、理論的には「世界遺産である」という共通項しかありませんから…。そこで私は一度原点まで立ち返ってみました。「私たちは、46億年の歴史を持つ地球上の中の、生物の1種の人間というだけの存在である」と。すると「なんか、ありがたいなぁ」なんて思い始めたりして…。で、こちらは人類の足跡を辿るところからスタートしてみようと思ったんです。チンパンジーの共通祖先から誕生し、進化を遂げてきた人類。そんな人類の太古の記憶には、アフリカを始め、世界各国に残っている岩絵があります。そこから人は色々な知恵を得て、何かを“表現”してゆく事を身につけました。そして各方々へ広がり、進化する過程でストーンヘンジなど石積みの祭壇や、住宅、さらに進化・派生して都市、帝国…。やがて芸術の域にまで達した技術は、ベルサイユ宮殿などの城、フィレンツェのような歴史地区、シドニーのオペラハウスと、様々な物を残してきました。それらを追っていくことで、地球の“46億年”という長く大きな歴史の内で、世界中に散らばって“数万年”というほんのわずかな時しか生きていない人間が、これだけ素晴らしい表現方法を瞬く間に進化・発展し生み出してきたという価値がわかると思います。当たり前ですが、人間という種がいなかったらこれらの形あるものは何ひとつ無かった。この、単純に「人の力ってすごいな」という質感が伝わってくれるといいですね。