人物デザイン・柘植伊佐夫が語る『ヘブンズ・フラワーの世界』

第3回「多彩なコスチューム」

ラストガーデン Last Garden

アイ、シオン、ナルキ、ラン、リリー、そして片桐。この 第七地区 や ラストガーデン に直結するキャラクターたちの衣装をお願いしたのが、IN-PROCESS というメゾンです。このメゾンは Steven Hall さん と Yurika Ohara さん によるデザインユニットですね。彼らのデザインの特徴はとてもハイファッションであるのと同時にどこかアーティステックな風味が混ざっていて、クールなのにユーモアがあるという、一言では括りきれない雰囲気なんですね。

この作品をお引き受けするにあたり、人物デザイン上、衣装の雰囲気をどのようなものにするのか、非常にプライオリティーの高い課題でした。なにしろこの世界は今から50年後の世界。半世紀先というとずいぶん変化する部分もあるでしょうし、と同時に、現在とさほど変化のない 「 地続きの未来感 」 もあると思うんですね。視聴者のイメージと余りかけ離れ過ぎても共感を得られないでしょうし、かといって余りに現代的でも舞台設定上の説得力や興奮に欠けますから。

そこで思ったのが、「 ハイファッションをそのまま日常に持ち込む 」 という実験でした。たとえばコレクションのランウェイのファッションというものは、もちろんそのまま商品化されることもありますし、商品化はされないけれどもそのシーズンのブランドをイメージさせるプロトタイプの場合もあります。いずれにしても、ハイファッションを日常的な生活レベルに当てはめると、かなり進んだ発想や表現方法の位置にあることが多いんですね。

そこで 「 ヘブンズ・フラワー 」 のキービジュアルになるラストガーデンのメンバーに 「 ハイファッションでいてストリート感もあり、それでいてアーティステック 」 な衣装デザインが必要だと思われたんですね。「 現代のハイファッションを現実世界に混ぜることで近未来を表現する 」 そのような人物デザインのコンセプトの流れの中で IN-PROCESS にお声をかけさせていただきました。

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