インタビュー
木村文乃さん/尾崎舞子役
尾崎舞子を演じて
私が演じる尾崎舞子は、(こういう人物なのだと)どこにも書いてないですし、キャラクターを作ろうにも、まだ材料が少なかったので、立ち位置がすごく難しかったです。でも、松本潤さんをはじめとする、刑事事件ルームの皆さんと実際にお芝居をしたとき、舞子はエリートという設定だから、年の割には落ち着いていていいんだろうなと感じました。台本上では動揺していたところも、もっとテンションは低めでクールに「はいはい」としたほうが合っているなと思ったんです。香川照之さん演じる佐田先生と一緒に事件を追うシーンでは、佐田先生がすごく暴走するので「どうした!どうした!」と同じテンションで一緒になって慌ててしまいがちですが、「いけませんよ」と、舞子が冷静になる気持ちは、私も確かになるので、わかります。
Q 『99.9』といえば、アドリブ満載の現場ですが…
そうですね。はじめての経験でした。でも、あれが(ドラマ撮影の)基準であって欲しくないです(笑)。この作品のような、ストイックな現場にいられるのは、役者としてありがたい環境だと本当に思います。先日、昔から私にインタビューをしてくださっている方に「最近何が楽しいですか」と聞かれて、私は普通に「お芝居が楽しい」と答えたんです。そうしたら「木村さんがお芝居楽しいっていうのがすごく意外です」と言われて、思わず「私自身もそんな答え出てきたのが意外です」と言ってしまったんですけど(笑)、本当にこの現場に入ったことで初めて感じたことなんです。もちろん、大変な部分も多々ありますが、それ以上に「一緒に(作品を)つくっていいんだ!」と感じられました。私は途中参加ですし、出すぎちゃいけないと思っているところもありましたが、皆さんがどんどん巻き込んでくださって、追い風を吹かせてくれているので、そこに乗っている感じが今は楽しいです。
Q SEASONⅡからの戸惑い
ドラマのお話をいただいたときは「急に私が入ったって…」と感じることは正直、ありました。でも、そう思う方がいることは確かなことなので、決してネガティブなことだけではなく、SEASONⅠを愛していたがゆえに、SEASONⅡでキャストが新しくなることに対する思いは少なからずあると思うので、敬意をもって挑みたいなと思っています。
Q 尾崎舞子のキャラクターで大事にしたところ
“すべてわかっている”というところです。事件の概要を説明しているとき、ほかの皆さんが資料を持っていても、舞子だったら一回資料を読んだだけで、頭にすべて入っていると思うので、資料は持たずに話すようにしている。とか、深山さんが突拍子もないことを言ったりやったりすることに、論理で淡々とお母さんみたいに注意して、一方で佐田先生をも冷静に叱る、とか。
一歩離れたところで、ほかのメンバーとは同じ目線でやりとりしないように心がけています。それでも、ペースを乱されて巻き込まれる瞬間はあるのですが、そこは流れに身を任せて巻き込まれるでいいんじゃないかなと最近は思っています。そんな思いがけない瞬間が好きで『99.9』を楽しみにしている方も多いんじゃないでしょうか。計算ではない化学変化も楽しめる余裕があるようにとも思っています。
Q 1話で印象的なシーンは?
『99.9』ならではの、事件現場を再現するシーンが今回もありますが…あのシーンの撮影ですごく覚えているのが、“横柄な態度をとる”というお芝居でした。私なりの横柄な態度で演じたのですが、やりきったあとマギーさんから「それは横柄ではないね」と…。まさかの一言だったのですが、でも「舞子なりの横柄があれだったんだ!」って言い聞かせました(笑)。最初のリハーサルのときに「予想の斜め上だった」と、マギーさんがアドリブでおっしゃっていて、そのときから(なんで斜め上なんだろうなあ)とわからないままお芝居を続けていたのですが、やりきった後にツッコみをいれられて、やっと気付くという(笑)。私も舞子も精一杯がから回っているんですよね…。
Q 木村ひさし監督について
木村ひさし監督とは以前もご一緒したことがあるので、作品のテンションはわかっていましたし、そこに対しての驚きはありませんでした。私自身も「やって!」と言われたら期待には全力で応えたい!と思うタイプなので、もちろん今回も突然投げ込まれた急なネタもありましたが、もちろん全力で応えてさせていただきました。監督からは「断られなくて安心しました」と言われて逆に驚きましたが(笑)。1話でも「これが木村監督の差し金だな!」と気づいていただけるシーンがあるので、お楽しみにしていてください(笑)。
Q 改めて『99.9』の魅力
実際に撮影現場に入るまでは「(99.9は)アドリブ合戦がおもしろい作品」という表現をしていたんですが、いざ現場に入ってみると、アドリブなのは0.1%くらいで、99.9%が緻密に練り上げられているものでした。リハーサルにリハーサルを重ねて、香川さんにしても松本さんにしても本番の直前まで決めセリフのギャグやセリフを、より新鮮なニュアンスで伝えるために微調整を繰りかえしています。そのうえで成り立っているんです。本番の1回のために、すっごい鮮度で持ってくるので、本当に笑いを堪えるのが大変です。その鮮度は、やはり努力が積み重ねられたものなんですよね。その一瞬一瞬を逃さないようにスタッフの方たちも常に真剣で臨んでいます。
この作品をつくるうえで、“真面目さがゆえにおもしろい”ということは最高に大事なポイント。その場のアドリブじゃないんだと知ったうえで観ていただくと、またもう一段階、楽しんでいただけるのではないでしょうか。
今回、出演者の皆さんが、羽を広げて私を迎え入れてくださっているので、そこに甘んじないよう、一緒に飛べるように頑張って行きます!