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視覚障害者のある利用者が中心のデイサービス「かみふうせん」
放送日:2016年02月13日
川崎市多摩区の南武線宿河原駅近くにデイサービス施設「かみふうせん」があります。
利用者が視覚障害者中心のデイサービスです。崎山記者が取材した日の利用者は7人。うち、目の見える「晴眼者」は2人でした。5人は目が見えない、見えにくい人ですが、高齢になってからの、中途失明の方が多いそうです。
運営しているのは視覚障害者が中心となって設立したNPO法人「川崎外出支援センター」です。これまでガイドヘルプ(同行援護)事業を行なっていましいたが、去年2月に、デイサービス「かみふうせん」をオープンしたんです。
NPOの理事長、舟橋正雄さんによると、普通、デイサービスは晴眼者に合わせた内容が多く、「ボールを使ったレクリエーションなど、見えないと楽しめない。」という声があがったそうです。そこで舟橋さんいわく、「視覚障害者による、視覚障害者のためのデイサービス」を提供しようと考えたそうです。これは全国でも珍しい試みです。
舟橋さんは「私も視覚障害者なので、わかるんですが、やはり、見えなくなると、表に積極的に出なくなるんですね。表に出ない、出ないと出にくくなる、体力も落ちてくる、たまに出れば疲れちゃうということで、だんだん悪循環で、結局、どこも悪くないのに、使わないために、筋肉が衰えてきて動きがにぶくなっちゃう。これはもったいない話です」と語ります。
デイサービスかみふうせんは、お茶やお昼ご飯を食べながらおしゃべり、あるいは体操、といったところは普通と変わりませんが、個別の身体のリハビリメニューは充実していて、様々な運動機器があり、看護師、マッサージ師も常駐しています。目が見えなくても楽しめる「カラオケ」は必須です。
そして、適切な「言葉」による声かけや説明が必須です。歩行訓練を兼ねた散歩でも、同行したスタッフが「向こうから保育園の子供たちが来る」とか、「桜のつぼみがふくらんでますよ」とか、いろいろと説明してくれながら、散歩を楽しんでいました。
「かみふうせん」に通いだしてまもなく1年、という女性は以前は普通のデイサービスに通っていたそうですが、その女性は「皆さん、目のいい人ばっかりだったから、全部は一緒に行動できなかったんです。ゲームとかそういうのはできなくて、お昼寝タイムみたいな感じで。それに、の上なんですよね。散歩なんかも、やっぱりちょっとできにくい。でも、ここに来てからこうやって散歩させていただいたり、自分でやろうと思えば、なんでもさしていただけるので、ありがたいです」と話していました。
もちろん、普通のデイサービスに視覚障害者がいても、ちょっとした工夫があれば、いいんです。見えないから大事にされてしまう、特別扱いされることもあります。理事長の舟橋さんがデイサービスを見学に行って、輪投げに挑戦しようとしてたら、ある利用者がパンパンと手をたたき「こっちだよ」と示してくれたそうです。そういうちょっとしたことで参加できるようになるんです。
舟橋さんは、そのうえで、「デイサービスかみふうせん」について、「うちも、視覚障害者中心とはいえ、晴眼者の人にも来てほしいんです。デイサービスに来た、晴眼者の方が、視覚障害者の人の行動で、ちょっとこちらに呼ぶにしても、手助けできるじゃないですか。、自分も誰かのお手伝いができる。こういう形で、相乗効果じゃないですけど、それを願っているんです」と話します。
視覚障害があってもなくても、元気で楽しく、社会参加できる場を目指しているということです。
「デイサービスかみふうせん」の対象は、川崎市の多摩、高津、宮前、麻生区ですが、ノウハウを蓄積して、あと2箇所市内に作りたいということです。
中途失明の高齢者はこれからも増えるでしょうから、デイサービスの運営の参考にもなると思いました。
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