担当:進藤誠人
今回取材したのは『ピナット〜外国人支援ともだちネット』という
団体です。
前身の団体の設立は1992年。現在は東京・三鷹市を拠点に
活動しています。
活動の目的を運営委員の山田洋子さんに聞きました。
「外国人が親子ともに安心して暮らせるよう、日本語を学習したり
生活や子育ての相談ができる場を作っています。
特徴としては、例えば『○○さんが●●で困っている』という
非常に具体的なことについて、顔の見える『ご近所付き合い』的な
関係を大切にずっと活動を続けています」
『ご近所付き合い』とは『近所のおばちゃんのちょっとした
おせっかい』だそうです。
ピナットの主な活動である『日本語教室』では、外国人家庭の
お母さんに日本語を教えていますが、ただ教えるだけではなく
そのご近所付き合い的なコミュニケーションがあるということです。
日本語教室で先生をしている、河合直子さんのお話です。
「例えば『小学校で子どもがお知らせをもらってきたけど、何が
書かれているかわからないから教えてほしい』とか
『PTAの役員・委員を選出する時にいろいろ言われたけど
わからないから、どういうルールになっているか教えてほしい』
とか、そういう情報を知りたいと。
それから、市役所に一緒に行って税金を納めるとか健康保険とか
そういう申し込みはどうしたらいいんだろうとか、そういう質問を
されることもあります」
日常会話がある程度できて、生活に困っていなさそうな外国人でも
サポートが必要です。
何かの契約書とか、役所に出す書類とか、日本人でも理解するのが
難しかったり、時間がかかったりしますが、それが外国人だったら
なおさらわからないと。
だから、そういう人たちが少しでも楽に暮らせるように
ご近所付き合い的にやってあげられることはやってあげようと
いうことです。
この日本語教室では、河合さんは小学生のお子さんを持つ
フィリピン出身のお母さんに日本語を教えているそうですが、
他にも10人くらいのお母さんが学んでいます。
もちろん、お母さんだけではなく、日本語があまりわからない
親を持つ子どものために、宿題や勉強をサポートする教室も
あります。
さらにピナットでは、赤ちゃんのいる外国人のお母さんの交流会
『ママ友カフェ』を月に1回開いています。
スタッフの鈴木庸子さんのお話です。
「乳幼児を抱えているお母さんは、どこにいても孤立しがちですけど
外国人のお母さんだったり、国際結婚のご家庭だったりすると
周りのサポートがより得にくい。国際結婚の場合だと、家庭の他の
メンバーが日本語、でもお母さん一人が自分の母語を守らなくては
いけないので、とても大きなジレンマを抱えがちなんです。
国際結婚した外国人のお母さんは
・子どもを日本語で育てようとしても自分は日本語が得意ではない
・日本の文化を教えようとしても、自分が生まれ育った文化とは違う
こういうことから、子育ての悩みを抱えているそうです。
だからこそ、悩みを共有して交流できる場を設けたということです。
この『ママ友カフェ』では、母子手帳にどんなことが書かれているか
説明したり、子どもの薬や注射のことを教えたり、子どもに絵本の
読み聞かせをしたり、いろんな国のダンスをみんなで踊ったりと
勉強から遊びまでいろんなことをして交流を続けています。
参加したお母さんはこんなことを言っています。
「初めて同じ国出身のママと会えてうれしかった」(中国)
「交流会でたくさんの友達ができた。生活についてのいろんな情報を
教えてもらってありがたい」(ナイジェリア)
「悩みを出し合って、一緒に考える会で安心です」(台湾)
一方、スタッフの河合さんは
「海外で生活した時に、たくさんの人に受け入れてもらって楽しく
過ごすことができたので、同じように日本で暮らす外国の方を
手助けすることで恩返しをしたい」と話していました。
外国人は、国が違えば文化も違うわけで、悩みもそれぞれ違います。
ひとりひとりに寄り添って考えるピナットの取り組みは
「よき隣人」として心強いのではないでしょうか。
関連情報・お問い合わせ先
- ピナット〜外国人支援ともだちネット
facebook.com/pinattomitaka